Gallicaの日本資料を翻刻!

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しらず戦(たゝか)ひ十 分(ぶん)難義(なんぎ)なりけるに。賊方(ぞくがた)の大将(たいせう)伊治呰麻呂(いちのしまろ)一千 騎(ぎ)の新兵(あらて)を丸隊(まるぞなへ)とし 土煙(つちけふり)を揚(あげ)て駈来(かけきた)り敗来(にげく)る味方(みかた)の士卒(しそつ)を左右(さいう)へ打払(うちはら)はせ。大いに喊(とき)を発(つくつ)て襲来(おそひく)る 京軍(きやうぐん)にわたり合(あひ)。呰麻呂(しまろ)先(さき)に立(たつ)て四尺三寸の太刀(たち)を電光(でんくわう)のごとく閃(ひらめ)かし。敵(てき)を斬事(きること)草(くさ)を 薙(なぐ)如(ごと)くなれば。京軍(きやうぐん)其(その)太刀(たち)風(かぜ)に辟易(へきえき)し又二三 段(だん)引退(ひきしりぞ)く。去程(さるほど)に敵味方(てきみかた)入乱(いりみだ)れ此処(こゝ) に乗(のり)ちがへ彼所(かしこ)に追回(おひまは)し。敵陣(てきぢん)は味方(みかた)の陣(ぢん)となり。討(うつ)討(うた)れつ戦(たゝか)ふ程(ほど)に川原(かはら)の四(し) 面(めん)は一 場(ぢよう)の修羅道(しゆらどう)となり。馬煙(むまけふり)は天を曇(くもら)し足音(あしおと)は地(ち)に轟(とゞろ)き。敵味方(てきみかた)の死尸(しかばね)は 累々(るい〳〵)として屠所(としよ)の肉(にく)のごとく流(なが)るゝ血汐(ちしほ)は滔々(とう〳〵)として紅葉(もみぢ)を浮(うか)めしに異(こと)ならず誠(まこと)に 厲(はげ)しき摂戦(せつせん)なり此時(このとき)総大将(そうたいせう)継縄(つぐなは)は田理(わたり)五郎が勢(せい)を難(なん)なく捲(まく)り立(たて)敵将(てきせう)五 郎を討取(うちとり)ければ残卒(ざんそつ)は八 方(はう)へ敗走(はいそう)し手(て)に立(たつ)敵(かたき)も無(なく)なりけるゆへ。此勢(このいきほ)ひに川を渡(わた) して味方(みかた)に力(ちから)を添(そへ)んとせしところに。大伴益立(おほともましたち)は呰麻呂(しまろ)が為(ため)に散々(さん〴〵)に伐立(うちたて)られ馬(むま)を拍(うつ) て川を越(こし)継縄(つぐなは)の陣(ぢん)へ駈戻(かけもど)りて大将(たいせう)に向(むか)ひ。日もはや夕陽(せきやう)に及(およ)び味方(みかた)の手負(ておひ)戦(うち)