Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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ページ: 480

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不審(ふしん)たち怕(おそ)る〳〵御 枕頭(まくらべ)へ膝行(しつかう)して窺(うかゞ)ふに。御 寐息(ねいき)もしたまはず。大いに訝(いぶか)りそつと 御 手(て)を採(とつ)て胗脈(しんみやく)【胗は診の誤ヵ】するに。御 手(て)氷(こほり)のごとく冷(ひえ)きり六脈(りくみやく)已(すで)に絶(たへ)玉へり。茲(こゝ)に於(おい)て駭然(がいぜん)とし て驚(おどろ)き騒(さは)ぎ。急(きう)に下僕(しもべ)を呼(よび)て郡司(ぐんじ)民部(みんぶ)が邸舎(やしき)へ走(はし)らせ斯(かく)と報(ほう)ぜしめければ。民部(みんぶ) も大いに駭(おどろ)き医師(いし)を引将(ひきつれ)て馳参(はせまい)り薬湯(やくたう)を用(もち)ひなどして百般(さま〴〵)扱(あつか)ひ奉れども。再(ふたゝ)び蘇(よみ) 生(がへり)給ふべくもあらざれば。衆(みな)一 同(どう)に涕泣(ていきう)の涙(なみだ)を灑(そゝ)ぎ只(たゞ)歎息(たんそく)するばかりなり。分(わき)て春(はる) 彦(ひこ)は月日(つきひ)とも憑(たの)み奉りし公(きみ)に別(わか)れ進(まい)らせ愁傷(しふしやう)一方(ひとかた)ならず我(われ)を忘(わす)れ声(こゑ)を放(はなつ)て慟哭(どうこく)し けるを民部(みんぶ)是(これ)を諫(いさめ)喩(さと)し。先(まづ)急使(はやづかひ)を仕立(したて)て菅公(かんこう)御薨去(ごかうきよ)の由(よし)を都(みやこ)へ註進(ちうしん)し。偖(さて)御 屍(むくろ) を棺(ひつぎ)に收(おさ)め御 葬式(そうしき)を整(とゝの)へ。御 棺(ひつぎ)を車(くるま)に乗(のせ)奉り御 葬(ほうむり)の地(ち)は太宰府(だざいふ)の四堂(よつどう)の側(かたはら)と 定(さだ)め。配所(はいしよ)を出(いだ)し奉り。御 車(くるま)には春彦(はるひこ)付添(つきそひ)四人(よにん)の下僕(しもべ)是(これ)を押(おし)。民部(みんぶ)時員(ときかづ)は多勢(たせい) にて御 車(くるま)の前後(ぜんご)を警固(けいご)し。四堂(よつどう)を臨(のぞん)で送(おく)り奉る。然(しかる)に菅公(かんこう)薨去(かうきよ)し給ひし事を誰(た) が言伝(いひつたふ)るともなく遠近(おちこち)の人民(にんみん)聞(きゝ)知(しつ)て悲泣(ひきう)せざる者なし。御葬式(ごそうしき)を拝(はい)せんとて路(みち)の