Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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  にいたり。我(われ)天帝(てんてい)の免(ゆるし)を受(うけ)て雷神(らいじん)となり。内裏(だいり)へ落(おち)て讒奏(ざんそう)せし徒(ともがら)を摑殺(つかみころさ)んと欲(ほつ)   す内裏(だいり)より召(めさ)るゝとも師(し)下山(げさん)し給ふ事 勿(なか)れと申されけるに。法性坊(ほふせうぼう)勅使(ちよくし)三 度(ど)に及(およ)ばゝ   辞(じ)する事 能(あたは)ざるよし答(こたへ)られしかば。菅霊(かんれい)怒(いか)りて柘榴(ざくろ)の晡(ほ)を妻戸(つまど)に吐(はき)かけられけれ   ば妻戸(つまど)燃立(もえたち)けるを。師(し)灑水(しやすい)の印(いん)を結(むす)んで是(これ)を消(けさ)れたりと古(ふる)くより書伝(かきつたへ)たれど   甚(はなは)だ信(しん)じがたき説(せつ)にて恐(おそ)らくは後世(こうせい)の虚誕(きよたん)【左ルビ:うそ】なるべし。菅公(かんこう)冤(むしつ)のために左遷(させん)【迁は俗字】せられ給へ   ども天命(てんめい)なるを悟(さとり)給ひて聊(いささか)も君(きみ)を怨(うらみ)給ふの言(ことば)なし。然(しかる)に何(なん)ぞ死(し)して雷神(らいじん)邪神(じやしん)と成(なり)   玉ふべき。是(これ)菅公(かんこう)を余(あまり)に崇(あがめ)んとして種々(しゆ〳〵)の妄説(もうせつ)を設(もう)け邪神(じやしん)となし奉る事 却(かへつ)て神(しん)   威(い)を損(おと)す理(り)にて最(いと)も恐(おそれ)ある事なり。内裏(だいり)の三 度(ど)炎焼(ゑんしやう)し時平(ときひら)以下(いけ)の死(し)を善(よく)せざり   しは。天道(てんとう)菅公(かんこう)の忠誠(ちうせい)を感(かん)じ。冤(むしつ)を雪(すゝ)ぎ無辜(つみなき)を露(あらは)さんため。怕(おそろ)しき天災(てんさい)を降(くだ)し給ふ   所(ところ)にて。敢(あへ)て菅公(かんこう)のなし給ふには非(あらざ)るべし。讒者(ざんしや)の徒(ともがら)雷(らい)に撃(うた)れ或(あるひ)は凶死(けうし)せしも天道(てんとう)   悪(あく)に殃(わざはひ)し給ふ理(り)にて。忠臣(ちうしん)無二(むに)の菅公(かんこう)を讒奏(ざんそう)せし罪(つみ)大いにして天誅(てんちう)に遭(あへ)るなり