Gallicaの日本資料を翻刻!

コレクション: コレクション1

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に預(あづか)り迷(まよひ)の雲(くも)霧(きり)霽(はれ)候。某(それがし)若年(じやくねん)の頃(ころ)何(なん)の弁(わきま)へもなく。放逸(はういつ)憍奢(けうしや)を好事(よきこと)と思(おもひ) 親(おや)の諫(いさ)め世(よ)の誹(そしり)をも厭(いとは)ず悪友(あくゆう)に誘(さそ)はれて窃盗(せつとう)を業(わざ)とし。遂(つひ)に其(その)巨魁(かしら)となり 人の財宝(ざいほう)を奪(うばひ)掠(かす)めて僅(わづか)に口腹(かうふく)を富(とま)せし事 今更(いまさら)慚愧(ざんぎ)に不堪(たへず)候。されども今は 偸盗(ちうとう)の名(な)を遁(のが)るゝに道(みち)なく奈何(いかん)とも致(いた)し難(がた)ければ。悪(あく)と知(しれ)ども悪(あく)をなし。只(たゞ)刃(やいば) の首(かうべ)に望(のぞむ)を待(まつ)のみに候。もし和尚(おせう)の大 慈悲(じひ)に因(よつ)て公儀(おやけ)の下吏(しもべ)にも用(もち)ひらるゝ道(みち)候 はゞ。犬馬(けんば)の労(らう)を辞(じ)せず奉公(はうこう)いたすべく候と。誠心(せいしん)面(おもて)に見(あら)はれて言(いひ)けるにぞ。禅師(ぜんじ)大いに 感(かん)じ。さる存念(ぞんねん)ならば万事(ばんじ)拙僧(せつそう)に任(まか)され候へ。為(ため)悪(あし)く計(はから)はじ。先(まづ)暫時(しばらく)当寺(このてら)に身(み) を忍(しの)びて居(ゐ)らるべしとて。夫(それ)より安達(あだち)を舎蔵(かくまひ)置(おき)翌日(よくじつ)征東使(せいとうし)継縄(つぐなは)の陣所(ぢんしよ)へ 到(いた)り密(ひそか)に対面(たいめん)して。当国(とうごく)に隠(かくれ)なき安達(あだち)八郎と申 強盗(がうどう)の首領(かしら)の候が。亡父(ぼうふ)の弔(とふら)ひ を頼(たのま)んと拙寺(せつじ)へ参(まい)り候ゆへ。其(その)器量(きれう)を試(ため)し見候に。人表(じんへう)衆(しゆう)に勝(すぐ)れ胆略(たんりやく)また秀(ひいで)。中々(なか〳〵) 窃盗(とうぞく)をなすべき者(もの)ならず候。依(よつ)て種々(さま〴〵)教化(けうけ)し候へば。渠(かれ)も生涯(せうがい)狗党(くとう)の群(むれ)に朽(くち)