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果(はて)ん事を厭(いと)ひ。今までの悪業(あくげう)を悔(くや)み。もし罪(つみ)を赦(ゆる)し召抱(めしかゝゆ)る主君(しゆくん)あらば犬馬(けんば)の労(らう)をも
辞(じ)せず奉公(はうこう)すべきよし申候。君(きみ)兼(かね)て当国(とうごく)の地理(ちのり)に熟(じゆく)せし者あらば。召抱(めしかゝへ)たきよし
御申なれば。彼(かの)安達(あだち)を扶知(ふち)し給へ。渠(かれ)は偸盗(ちうとう)を業(わざ)とし候ひしゆへ。当国(とうごく)は申に及(およば)す近国(きんごく)
の地理(ちのり)にも達(たつ)し。然(しか)も智勇(ちゆう)を兼備(けんび)せし者にて候へば。自然(しぜん)軍功(ぐんかう)を立(たて)給ふべき便(たより)と
も成(なり)候べしと勧(すゝ)めければ。継縄(つぐなは)大いに悦(よろこび)。是(これ)予(よ)が兼(かね)て望(のぞ)む所(ところ)なり。其者(そのもの)先非(せんひ)を改(あらため)て
予(よ)に奉公(はうこう)するぞならば。予(よ)また其功(そのかう)に従(したが)ひ追々(おひ〳〵)執立(とりたて)遣(つか)はすべしと言(いは)れけるにぞ。和(お)
尚(せう)怡(よろこ)び立帰(たちかへつ)て安達(あだち)に右(みぎ)の由(よし)を告(つげ)夜中(やちう)に伴(ともな)ひて継縄(つぐなは)の陣館(ぢんや)へ赴(おもむ)き八郎を見(めみ)へさ
せければ。継縄(つぐなは)安達(あだち)が堂々(どう〳〵)たる骨柄(こつがら)を見て深(ふか)く悦(よろこ)び主従(しゆう〴〵)の契約(けいやく)せられけるゆへ。安達(あだち)
三 拝(はい)して恩(おん)を謝(しや)し。山塞(さんさい)より老母(らうぼ)を迎(むかへ)とり小賊(てした)の中(なか)にて物(もの)の役(やく)に立(たつ)べき者は呼(よび)とりて
家人(けにん)とし。是(これ)より非(ひ)を改(あらた)め。家人(けにん)を以(もつ)て近郷(きんがう)の盗賊(とうぞく)を防(ふせ)がせけるにぞ。国府(こくふ)の近辺(きんへん)は
盗難(とうなん)の患(うれ)ひなく諸人(しよにん)大いに心を安(やす)んじてぞ悦(よろこ)びける