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桓武天皇(くわんむてんわう)御即位(ごそくゐ) 苦肉(くにくの)計略(けいりやく)安達(あだち)《振り仮名:焼_二敵柵_一|てきさくをやく》条
宝亀(ほうき)十二年 皇都(みやこ)には伊勢(いせ)の神官(じんくわん)より表(へう)を捧(さゝ)げ当春(とうしゆん)より斎宮(さいぐう)の社(やしろ)の上(うへ)に五(ご)
彩(しき)の雲(くも)現(あら)はれ四 方(はう)の天(そら)に燿(かゝや)き候と奏上(そうぜう)しければ。帝(みかど)叡慮(ゑいりよ)麗(うるは)しく百宦(ひやくくわん)を召集(めしつどへ)玉
ひ。今般(こんはん)伊勢(いせ)の斎宮(さいぐう)に五色(ごしきの)雲(くも)現(あら)はるゝ事 是(これ)天(てん)より祥瑞(しやうずい)を示(しめ)し給ふところなれば
年号(ねんがう)を改(あらた)め天応元年(てんおふぐわんねん)と改元(かいげん)すべし。然(しから)ば五 穀(こく)もよく登(みの)り東国(とうごく)の賊徒(ぞくと)も程(ほど)な
く誅(ちゆう)に伏(ふく)すべし。然(しか)し此議(このぎ)如何(いかゞ)有(ある)べきと勅問(ちよくもん)給ひければ。左右(さいう)の大臣(だいじん)を先(さき)とし一 座(ざ)
の月卿(げつけい)雲客(うんかく)冠(かむり)を傾(かたむ)けて一 同(どう)に拝賀(はいが)し。陛下(へいか)徳(とく)を脩(おさ)め万民(ばんみん)を恤(めぐみ)給ふにより。天
より祥瑞(しやうずい)を示(しめ)し給ふなれば。年号(ねんがう)改元(かいげん)の議(ぎ)誠(まこと)に宜(よろし)く候と回奏(くわいそう)しけるにより。帝(みかど)も御(ご)
喜悦(きえつ)在(ましま)し即(すなは)ち宝亀(ほうき)十二年正月に天応(てんおふ)元年(げんね)と改(あらた)め玉(たま)ひ天下(てんか)に大赦(だいしや)行(おこな)はれ囚獄(とらはれ)を
赦(ゆる)し放(はな)し遠島(ゑんとう)配流(はいる)の者を徴還(めしかへ)されけるにぞ。万民(ばんみん)皆(みな)君(きみ)の御 仁徳(じんとく)を感悦(かんゑつ)し世上(せじやう)何(なに)
となく賑(にぎは)ひける。時(とき)に帝(みかど)又 群臣(ぐんしん)を召集(めしあつ)め詔(みことのり)在(あり)けるは。昨年(さくねん)奥州(おうしう)より加勢(かせい)并(ならび)に兵糧(ひやうらう)