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事(こと)度(たび)多(おほ)し計(はかりこと)已(おは)らば狂賊(けうぞく)平(たいらげ)殄(つく)すべし。而(しかる)に夏(なつ)は草(くさ)茂(しげ)り征討(せいとう)すべからず
といひ冬(ふゆ)は雪(ゆき)深(ふか)く誅伐(ちうばつ)しがたしといふ。然(しから)ば則(すなは)ち何(いづれ)の日か賊(ぞく)を誅(ちう)し国(くに)を復(ふく)せん
方(まさ)に将軍等(せうぐんら)賊(ぞく)の為(ため)に欺(あざむ)かれ緩怠(くわんたい)して此(この)逗留(とうりう)を致(いた)す。人馬(じんば)痩(やせ)て何(なに)を
以(もつて)か敵(てき)に対(たい)せん。良将(りようせう)の策(はかりこと)豈(あに)如此(かくのごとく)ならんや。宜(よろし)く教喩(きやうゆ)を加(くは)へ意(こゝろ)を征討(せいとう)
に存(そん)せよ若(もし)今月(こんげつ)を以(もつ)て賊徒(ぞくと)を殺(ころし)尽(つく)す事 能(あたは)ずんば退(しりぞい)て多賀(たが)玉造(たまつくり)の
要害(ようがい)に篭(こも)り能(よく)防禦(ほうぎよ)を加(くは)へ兼(かね)て戦術(せんじゆつ)を練(ねる)べしと云々
勅使(ちよくし)勅書(ちよくしよ)を読終(よみをはり)ければ。継縄(つぐなは)以下(いげ)深(ふか)く愧(はぢ)恐(おそ)れ詔命(みことのり)畏(かしこま)り奉(たてまつ)り候 此(この)上は軍略(ぐんりやく)を
定(さだ)め不日(ふじつ)に賊徒(ぞくと)を征伐(せいばつ)し勝軍(かちいくさ)を奏(そう)し奉るべく候 間(あいだ)此旨(このむね)御 皈洛(きらく)の上(うへ)回奏(くわいそう)なし給へ
と申されければ勅使(ちよくし)承諾(せうだく)し。玉造(たまつくり)を立(たつ)て都(みやこ)へぞ上(のぼ)られける。斯(かく)て継縄(つぐなは)小黒麻呂(をぐろまろ)と軍(ぐん)
議(ぎ)を定(さだ)め。近日(きんじつ)出陣(しゆつぢん)すべしとて其(その)手賦(てくばり)をなしけるに。忽(たちま)ち不時(ふじ)の故障(こしやう)出来(しゆつらい)しける
其(その)根元(こんげん)を尋(たづぬ)るに。彼(かの)賊首(ぞくしゆ)安達(あだち)八郎。継縄(つぐなは)に奉公(はうこう)して初(はじめ)の程(ほど)は身(み)を謙(へりくだ)り詞(ことば)を