Gallicaの日本資料を翻刻!

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遂(とげ)ず所詮(しよせん)自力(じりき)にては討(うち)がたければ御 手(て)に加(くわ)はり近日(きんじつ)京軍(きやうぐん)の押寄(おしよせ)候はんとき魁(さきがけ)して 継縄(つぐなは)を討(うち)鬱憤(うつふん)【欝は俗字】を散(さん)じて推参(すいさん)いたし候なり。是(これ)まで度々(どゝ)の御 招(まね)きに応(おふ)ぜざる 罪(つみ)を御 赦免(しやめん)有(あつ)て歩軍(ほぐん)の末(すへ)に加(くは)へ玉はらば犬馬(けんば)の労(らう)を竭(つく)し忠戦(ちうせん)を励(はげ)むべく候 と詞(ことば)を卑(さげ)て頼(たの)みければ。呰麻呂(しまろ)は片腕(かたうで)と頼(たのみ)し金窪兵太(かなくぼひやうだ)は矢痕(やきず)のために死亡(しぼう)し 胆沢悪(いざはあく)太郎は此頃(このごろ)瘧疾(ぎやくしつ)にて引籠(ひきこもり)けるゆへ。力(ちから)となるべき勇士(ゆうし)もがなと思(おも)ふ折(をり) しも多年(たねん)懇望(こんまう)せし安達(あだち)八郎 自身(みづから)幕下(ばつか)に属(ぞく)せんと望(のぞみ)けるゆへ大いに悦(よろこ)び一 議(ぎ)に も及(およば)ず降(かう)を容(ゆる)し酒宴(しゆえん)を催(もよほ)して重(おも)く管待(もてな)【注】し。偖(さて)京軍(きやうぐん)の強弱(かうじやく)を問(とひ)ければ安達(あだち) 答(こたへ)て京軍(きやうぐん)は昨年(さくねん)阿隈川原(あふくまがはら)の一 戦(せん)に打負(うちまけ)多(おほ)く兵(へい)を折(くじい)て御 勢(せい)の武勇(ぶゆう)に怖(おそ)れ 再(ふたゝ)び戦(たゝか)ふ義(ぎ)勢(せい)なく。其上(そのうへ)長陣(てうぢん)に退屈(たいくつ)し只(たゞ)帰京(ききやう)せん事をのみ思(おも)ひて戦場(せんでう)へ向(むかは)ん 事を望(のぞ)む者十が二もなく候。然(され)ども当年(とうねん)都(みやこ)より加勢(かせい)として藤原小黒麻呂(ふぢはらのをぐろまろ)三千 騎(ぎ) を将(ひい)て馳(はせ)加(くは)はり候へば。近々(きん〳〵)一軍(ひといくさ)せんと押寄(おしよせ)候べし。然(しかれ)ども大将(たいせう)は皆(みな)公家(くげ)長袖(ながそで)にて 【注 「竹冠+宦」は官と宦の混用、「侍」は「待」の誤記と思われる。】