Gallicaの日本資料を翻刻!

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兵学(へいがく)は机(つくえ)の上(うへ)にて閲(けみ)せしのみ戦場(せんぢよう)の場数(ばかづ)を踏(ふみ)しにもあらず。軍勢(ぐんぜい)とても普代(ふだい)恩(おん) 顧(こ)の者は鮮(すくな)く多(おほく)く【語尾の衍】は公(おゝやけ)の募(つのり)に応(おふ)じし集勢(あつまりぜい)にて。命(いのち)を拋(なげう)ち敵(てき)に向(むかは)んとする程(ほど)の 士卒(しそつ)は稀(まれ)に候しかも地理(ちのり)を知(しら)ざれば。奇兵(きへい)を以(もつ)て是(これ)を伐(うた)んに勝(かた)ずといふ事 有(ある)べから ずと。弁舌(べんぜつ)淀(よど)みなく説(とき)ければ。呰麻呂(しまろ)深(ふか)く悦(よろこ)び再(また)難得(なきもの)と思(おも)ひ当座(とうざ)の引出物(ひきでもの)と して太刀(たち)甲冑(よろひかぶと)引馬(ひきむま)等(とう)を与(あた)へ。是(これ)より軍議(ぐんぎ)の片相手(かたあひて)とし。万事(ばんじ)安達(あだち)と商議(しやうぎ)しをぞ なしにける。宦軍(くわんぐん)の大将(たいせう)継縄(つぐなは)小黒丸(をぐろまる)は。賊徒(ぞくと)征伐(せいばつ)の軍議(ぐんぎ)を定(さだ)め。今度(このたび)は大手(おほて)搦手(からめて) 両方(りようはう)より攻立(せめたて)一挙(いつきよ)に揉破(もみやぶら)んと。大手(おほて)は大伴益立(おほともましだち)を先陣(せんぢん)とし小黒丸(をぐろまろ)後陣(ごぢん)となり総(そう) 勢(ぜい)五千余 騎(き)。搦手(からめて)へは紀古佐美(きのこさみ)を先陣(せんぢん)とし。継縄(つぐなは)後陣(ごぢん)となり。同(おな)じく総勢(そうぜい)五千余 騎(き)天応(てんおふ)元年(ぐわんねん)九月十二日 未明(みめい)より玉造城(たまつくりじやう)を打立(うちたち)呰麻呂(しまろ)が柵(さく)へ押寄(おしよせ)けり。呰麻呂(しまろ) も疾(とく)より京軍(きやうぐん)の軍立(いくさだて)を知(しり)ければ。二千五百余人を大手(おほて)搦手(からめて)に分(わけ)大手(おほて)の防(ふせぎ)は大将(たいせう)呰麻(しま) 呂(ろ)栗原源(くりばらげん)三一千三百余人にて固(かた)め。搦手(からめて)は安達(あだち)八郎 松前荒鰐(まつまへあらはに)一千二百余人にて