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回(まは)る事 草(くさ)を薙(なぐ)が如([ご]と)し。大手(おほて)の寄兵(よせて)益立(ましだち)小黒丸(をくろまる)も敵柵(てきさく)の火(ひ)の手(て)を見て敵方(てきがた)に
内変(ないへん)あるを察(さつ)し同(おな)じく一千五百 騎(き)を進(すゝ)めて攻登(せめのぼ)り。城門(きど)を打破(うちやぶつ)て大浪(おほなみ)のごとく
込入(こみいり)けり。元来(ぐわんらい)此日(このひ)の反忠(かへりちう)は別人(べつしん)ならず。安達(あだち)八郎が反間(はんかん)の謀計(はかりこと)にて。継縄(つぐなは)と示合(しめしあは)
し賊情(ぞくじやう)の事を以(もつ)て継縄(つぐなは)の咎(とがめ)を受(うけ)。牢獄(ろうごく)を抜出(ぬけいで)て呰麻呂(しまろ)に降参(かうさん)し。よき時(じ)
分(ぶん)に陣小屋(ぢんごや)に火(ひ)をかけ寄兵(よせて)を引入(ひきいれ)けるを。京軍(きやうぐん)といへども余人(よじん)は更(さら)に知(しら)ざりけり去(さる)
程(ほど)に賊兵(ぞくへい)は前後(ぜんご)より攻入(せめいり)し敵(てき)に途(ど)を失(うしな)ひ素(もとよ)り欲心(よくしん)の為(ため)に一 味(み)せし野武士(のぶし)
山賊原(さんぞくばら)なれば義(ぎ)を知(しり)恥(はぢ)を知(しつ)たる者は一人もなく。途(みち)を奪(うばふ)て逃(にげ)んとして討(うた)れ或(あるひ)
は手(て)を束(つがね)て降参(かうさん)するも有(あり)又は生捕(いけどら)るゝも多(おほ)く辛(からう)して柵(さく)を逃下(にげくだり)し者(もの)も梺(ふもと)に屯(たむろ)
せし官軍(くわんぐん)に鈍々(おめ〳〵)と擒(とりこ)にせられける。賊将(ぞくせう)呰麻呂(しまろ)は味方(みかた)の内変(ないへん)を見て大いに怒(いか)り
大太刀(おほだち)抜插(ぬきかざ)し馬(むま)を跳(おどら)して群(むらが)る京軍(きやうぐん)を縦横(じうわう)無尽(むじん)に斬(きつ)て回(まは)り敵(てき)を斬事(きること)数(かづ)を
しらず。果(はて)は太刀(たち)も刀(かたな)も撃折(うちをり)大手(おほで)を広(ひろ)げて近付者(ちかづくもの)を掻抓(かいつかん)で人 礫(つぶて)に打荒(うちあれ)に