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あれて悪戦(あくせん)しけるが已(すで)に馬(むま)も射(い)すくめられて斃(たをれ)ければ跣立(かちだち)になり猶も敵(てき)中を
駈回(かけまは)りて士卒(しそつ)を打悩(うちなやま)し其身(そのみ)も矢疵(やぎす)【ママ 濁点の位置の誤記】太刀疵(たちきず)数多(あまた)受(うけ)今は是までなりと鎧(よろひ)を
解(とい)て腹(はら)十 文字(もんじ)に掻切(かききり)けるところへ。安達(あだち)八郎 駈来(かけきたつ)て終(つい)に首(くび)をぞ揚(あげ)にける此余
栗原源三(くりはらげんさう)松前荒鰐(まつまへあらはに)以下(いげ)の宗徒(むねと)の者も乱軍(らんぐん)の中に戦死(うちじに)し。呰麻呂(しまろ)が妻妾(さいせう)女(をんな)
童(わらべ)は火中(くわちう)に投(とう)じ又は刃(やいば)の下(した)に命(いのち)を落(おと)し。士卒等(しそつら)も或(あるひ)は討(うた)れ或(あるひ)は虜(とりこ)となり手(て)に
立(たつ)敵(てき)一人もなくなりければ。諸勢(しよぜい)に火(ひ)を防(ふせ)ぎ消(けさ)せ勝喊(かちどき)を揚(あげ)討(うち)とりし首(くび)を点検(てんけん)
するに一千二百 余級(よきう)に及(および)虜(いけどり)九百十 余人(よにん)焼死(せうし)の者は数(かづ)しらず。さしも去年(きよねん)より
官軍(くわんぐん)を悩(なやま)し威(い)を国中(こくちう)に奮(ふるひ)し呰麻呂(しまろ)も運(うん)尽(つき)ぬれば戦場(せんぢよう)の露(つゆ)と消(きえ)堅固(けんご)に
構(かまへ)し要害(ようがい)も一 時(じ)の煙(けふり)と成(なり)けるぞ哀(あはれ)なりける。是(これ)偏(ひとへ)に継縄(つぐなは)の智謀(ちばう)と安達(あだち)
が働(はたらき)に依(よる)ところなり。斯(かく)て兇敵(けうてき)亡(ほろ)びしかば。継縄(つぐなは)小黒丸(をくろまる)軍卒(ぐんそつ)を分(わけ)て所々(しよ〳〵)に逃隠(にげかくれ)
し残党(ざんとう)を捜(さが)し出(いだ)して搦(からめ)捕(とら)せ。罪(つみ)の軽重(けいぢう)に依(よつ)て死刑(しけい)または追放(つひほう)し。賊将(ぞくせう)呰麻(しま)