← 前のページ
ページ 78 / 521
次のページ →
翻刻
呂(ろ)が股肱(こかう)と頼(たのみ)し胆沢悪(いざはあく)太郎をも搦捕(からめとつ)て首(くび)を刎(はね)宗徒(むねと)の者の首(くび)を梟木(けうぼく)に
かけ一 国(こく)平定(へいでう)せしかば。十月 上旬(じやうじゆん)征東使(せいとうし)の面々(めん〳〵)諸軍(しよぐん)を率(ひい)て都(みやこ)へ凱陣(かいぢん)せられけり
東征使(とうせいし)凱陣(かいぢん)賞罰(せうばつ) 不破内親王(ふはのないしんわう)母子(ぼし)流罪(るざい)条
征東大使(せいとうたいし)藤原継縄(ふぢはらのつぐなは)同 藤原小黒丸(ふぢはらのをくろままろ)其余(そのよ)の諸将(しよせう)路次(ろし)障(さはり)なく帰京(ききやう)して
参内(さんだい)し賊徒(ぞくと)を伐亡(うちほろぼ)し奥州(おうしう)平均(へいきん)せし趣(おもむ)きを奏聞(そうもん)しければ桓武天皇(くわんむてんわう)大いに叡(ゑい)
感(かん)在(ましま)し継縄(つぐなは)小黒丸(をぐろまろ)古佐美(こさみ)等(とう)に忠賞(ちうせう)を賜(たま)はり。安達(あだち)八郎にも奥州(おうしう)の中(うち)にて
菜地(さいち)を給(たま)はり。今度(こんど)忠戦(ちうせん)の功(かう)を賞(せう)し給ふ。独(ひとり)大伴益立(おほともましだち)は軍戦(ぐんせん)の期(き)を愆(あやま)【𠍴は俗字】りて
寸功(すんかう)なきを咎(とがめ)給ひ其(その)官位(くわんゐ)を削(けづ)り給ひける。去程(さるぼ[と])に奥州(おうしう)の国乱(こくらん)平定(へいでう)し諸(しよ)
人(にん)心を安(やす)んじけるに。又(また)都(みやこ)に不時(ふじ)の珍事(ちんじ)出来(しゆつらい)し。延暦(ゑんりやく)元年(ぐわんねん)《割書:天 応(おう)二|年改元》壬戌(みづのへいぬ)閏(うる)正月に
因幡守(いなばのかみ)氷上川継(ひのかみのかはつぐ)陰謀(いんばう)を企(くはだて)其義(そのぎ)露顕(ろけん)し召捕(めしとら)れて遠島(ゑんとう)へ謫(てき)【「たく」とあるところ】せられけり
其(その)旨趣(ししゆ)を尋(たづぬ)るに。氷上川継(ひのかみのかはつぐ)といふは天武帝(てんむてい)の曽孫(ひまご)に当(あた)れり。天武帝(てんむてい)の皇(み)