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と巧(たくみ)の次第(しだい)残(のこ)らず白状(はくでう)にぞ及(および)ける。是(これ)に依(よつ)て有司(ゆうし)具状(くちがき)を以(もつ)て右の一件(いつけん)を奏(そう)し
ければ。桓武帝(くわんむてい)甚(はな)はだ逆鱗(げきりん)在(ましま)し。先(まづ)急(きう)に四方(しはう)の禁門(きんもん)を固(かため)させ。防禦(ふせぎ)の備(そなへ)を厳重(げんぢう)
になさせ給ひ。偖(さて)何気(なにげ)なき体(てい)にて官使(くわんし)を川継(かはつぐ)の方へ遣(つかは)し給ひ。俄(にはか)に評議(ひやうぎ)すべき
事あれば疾(とく)〱(〳〵)参内(さんだい)すべしと言(いは)しめ給ふに。川継(かはつぐ)は御使(つかひ)の来(きた)りしを見て何(なに)となく心(むね)騒(さは)
ぎ。是(これ)必定(ひつでう)乙人(をとんど)が事を仕損(しそん)じ密謀(みつばう)露顕(ろけん)せしゆへ成(なる)べしと早(はや)く推察(すいさつ)し官使(くわんし)に
は領掌(れうぜう)せし旨(むね)を言(いひ)て返(かへ)し。母公(はゝ)と俱(とも)にとる物(もの)も採(とり)あへず後門(うらもん)より落(おち)行(ゆか)んとす
るに兼(かね)て朝廷(てうてい)より。自然(しぜん)川継(かはつぐ)が逃(にげ)失(うせ)んとする事もやとて。其(その)宿所(しゆくしよ)の四 方(はう)に大 勢(ぜい)の
官兵(くわんへい)を伏(ふせ)おき給ひければ。川継(かはつぐ)母子(おやこ)遂(つひ)に鈍(おめ)〱(〳〵)と虜(とりこ)となり。有司(ゆうし)の庁(てう)へぞ曳(ひか)れける
禁廷(きんてい)には乙人(をとんど)を拷(がう)【足+考は誤記ヵ】問(もん)して荷担(かたん)の輩(ともがら)を逐(ちく)一に白状(はくでう)させ。其(その)詞(ことば)に付(つい)て宇治王(うぢわう)を先(さき)
とし公家(くげ)武家(ぶけ)とも川継(かはつぐ)に合体(がつたい)せし輩(ともがら)を悉(こと〴〵)く召捕(めしとら)せ給ひ。帝(みかど)群臣(ぐんしん)を召集(めしあつめ)て
勅詔(ちよくぜう)し給ふらく。川継(かはつぐ)義(ぎ)先年(せんねん)隠謀(いんばう)を企(くはだて)事(こと)発覚(はつかく)して流刑(るけい)に行(おこな)はれしところ