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給ふ宇佐八幡宮(うさはちまんぐう)是(これ)なり。又 其比(そのころ)筑前国(ちくぜんのくに)那珂郡(なかごほり)筥崎(はこざき)に白幡(しらはた)四流(よながれ)赤幡(あかはた)四流(よなかれ)天
より降(くだ)り土地(とち)の童女(どうによ)に神託(しんたく)ありて。我(われ)は八幡丸(やはたまる)なり。此地(このち)に鎮座(ちんざ)すべしとありし
ゆへ其地(そのところ)に松(まつ)を植(うえ)て宮殿(みやゐ)を造(つく)らる筥崎(はこざき)の八幡宮(はちまんぐう)是(これ)なり。又 山城国(やましろのくに)男山(をとこやま)岩清(いはし)
水八幡宮(みづはちまんぐう)は人皇(にんわう)五十六代 清和天皇(せいわてんわう)の御宇(ぎよう)奈良(ならの)大安寺(だいあんじ)の僧(そう)行教(ぎやうけう)といふ人 俗姓(ぞくせう)は
紀氏(きうじ)にて武内宿祢(たけうぢのすくね)の後胤(こういん)なりければ。常(つね)に八幡宮(はちまんぐう)を信仰(しんかう)し奉り。貞観(ていくわん)元年に豊(ぶ)
前(ぜん)の宇佐八幡宮(うさはちまんぐう)に参篭(さんろう)し一夏(いちげ)九十日 昼(ひる)は大乗経(だいぜうけう)を読誦(どくじゆ)し夜(よる)は密咒(みつじゆ)を唱誦(せうじゆ)
して一 心(しん)に渇仰(かつがう)しけるに。一夜(あるよ)の夢(ゆめ)に八幡太神(はちまんだいじん)告(つげ)て宣(のたま)はく。我(われ)和僧(わそう)の法施(ほふせ)を久(ひさ)しく
受(うけ)たれば師(し)に別(わか)るゝに忍(しの)びず。師(し)都(みやこ)へ皈(かへら)ば我(われ)も都(みやこ)へ上(のぼ)り帝都(ていと)の側(かたはら)に鎮座(ちんざ)し皇祚(くわうそ)
を守(まも)るべしと。正(まさ)しく示現(じげん)し給ふと見て夢覚(ゆめさめ)たり。行教(ぎやうけう)感涙(かんるい)に堪(たへ)ず。頓(やが)て榊(さかき)の
枝(えだ)に御影(みえい)を移(うつ)し。清浄(しやう〴〵)の袈裟(けさ)に裹(つゝ)み頸(くび)にかけて都(みやこ)へ上(のぼ)りけるに。城州(じやうしう)山崎(やまざき)の宿(しゆく)に
やどりける夜(よ)の夢(ゆめ)に。八幡宮(はちまんぐう)現(あらは)れ給ひ。師(し)我(わが)鎮座(ちんざ)する地(ち)を見(み)よと神勅(しんちよく)を蒙(かふむ)る