Gallicaの日本資料を翻刻!

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納言(なごん)種継(たねつぐ)といへるは。前左大臣(さきのさだいじん)良継(よしつぐ)の嫡男(ちやくなん)正(せう)三 位(み)宇合(のきあひ)の孫(まご)にて系図(けいづ)といひ家柄(いへがら) といひ。君(きみ)の御 覚(おぼへ)他(た)に越(こへ)て芽出(めで)たく。権勢(けんせい)肩(かた)を並(ならぶ)る人もなかりけり。然(しかる)に帝(みかど)は常(つね)に 遊猟(ゆふれう)を好(この)ませ給ひ。朝廷(てうてい)の政務(まつりごと)は多(おほ)くは皇太子(くわうたいし)早良親王(はやよししんわう)に委(ゆだね)給ひける。然(され)ども 種継(たねつぐ)は帝(みかど)の寵臣(てうしん)なれば平日(へいじつ)君(きみ)に昵近(ぢつきん)し奉り。内外(ないぐわい)の政事(せいじ)を執奏(しつそう)し。威勢(いせい)猶(なを)早(さう) 良(ら)太子(たいし)に踰(こえ)たれば。早良親王(さうらしんわう)甚(はな)はだ心に種継(たねつぐ)を忌(いみ)給ひ。彼(かれ)が君寵(くんてう)に誇(ほこ)り我意(わがまゝ)の 行条(ふるまひ)多(おほ)きを嫉(にく)み憤(いきどふ)り給ひ。隙(ひま)もあらば種継(たねつぐ)を追(おひ)退(しりぞけ)んものと時(とき)を窺(うかゞ)ひ給ひける に。其頃(そのころ)佐伯今毛人(さいきいまげんど)といふ者。親王(しんわう)に阿(おもね)り諛(へつら)ひ御意(みこゝろ)にとり入ければ。親王(しんわう)も今毛人(いまげんど)を 贔屓(ひいき)に思召(おぼしめし)彼(かれ)を参議(さんぎ)の官(くわん)に任(にん)ぜんと。其由(そのよし)を帝(みかど)へ奏(そう)し給ひけるに。種継(たねつぐ)是(これ)を 遮(さへぎ)り抑(おさ)へ。佐伯氏(さいきうじ)は参議(さんぎ)に昇進(せうしん)すべき家柄(いへがら)にあらず。此義(このぎ)は勅許(ちよくきよ)なし給ふべから ずと奏(そう)しけるゆへ。帝(みかど)も尤(もつとも)の義(ぎ)に思召(おぼしめさ)れ。今毛人(いまげんど)参議(さんぎ)に昇進(せうしん)の義(ぎ)然(しか)るべからざる 旨(むね)親王(しんわう)へ勅詔(ちよくぜう)なし給ひけり。是(これ)に依(よつ)て親王(しんわう)の思召(おぼしめし)齟齬(くひちがひ)本意(ほんい)を失(うしな)ひ給ひ。是(これ)皆(みな)