翻刻
山里尓住る身な連ば。水邊へ遠く。かれこれ/徒(むなし)く打過ぬ。/翌(よく)年
夏能頃。此理越試み見む登。態と俵尓米麦小豆の三品を
入亭。池の濁たる水中尓。七日/漬(ひた)し置て試みたる尓。思ひの
如く違はざ連ば。此尓其術を記春。洪水いまだ落ざるうち。
夜中或は暁方尓。水深き池の渕へ況免置き。晴天越待て。
朝五ツ頃尓取上け。急き干須べし。夏盤盛陽な連ば。乾くこと
/速(はや)し。夕方或盤曇りたる日尓。水よ里出須べから須。/焮(ほめ)きて
/爛(くさ)るもの也。晴日尓/干(ほ)したるを/蓄(たくは)へ置て。挽米となし食ふべし。
少し盤/臭(にほ)ふ物也。/苗代籾(なわしろもみ)の/焼米(やきごめ)能/臭(か)尓ひとし。味さして
/変(かわ)らざる也。
補 常陸の地盤。稗尓よろしけ連ば。水戸殿よりの御規定ありて。
例救荒の手当尓。年々米尓取まぜ上納せし免らる。誠尓御尤の
事なり。其ゆへは米尓てたくわへば。直段よきまゝに。諸役人とも
一時の便利を見て。う里拂ふこともあるべし。稗盤元より直
ゆ春きものな連ばうるまじ。よつて終尓手当と成べし。
〇/蝗(いなむし)を逐ふ事
蝗能害盤水旱より甚し。志かるに蝗を逐ふ尓盤。大勢/松(たい)
/明(まつ)をもやし。/鐘大皷(かねたいこ)を鳴して逐ふのみ也。羽ある虫盤火越
近て去るべけ連ど。その余の虫盤志るしなし。近来油越もて
《割書:増補 去る天保|丙申のとし盤》
《割書:三度/蕎麦(そば)/弘(こう)|/法芋(ぼういも)を。多く植》
《割書:ゑて/凌(しの)ぎし所|もあり》