翻刻
田盤。少しもい連須して試ける尓。蝗多く亭油多くい連たる
田は。七八分の作となり。蝗のうすく油半入る田盤。四分の作となり。
蝗すくなくて油い連さる田盤。稲悉く/枯穂(か連ほ)となりける。此時尓
あたへて。鯨油の備あらば。いかでかかゝる蝗のう連ひ有べきぞと。嘆息
春連ども。甲斐なし。わ連きく。先年豊後尾形氏なる農夫。肥
後国尓至り。鯨油越もて。蝗を去ること越傳へしより。その術
肥後一国尓ひろごり。地頭より/備(そなへ)油と/號(がう)し。年々四斗入乃
樽尓て。五島平戸より。正真の鯨油貳千挺ツゝ買入となり。村々
田高尓應して割渡し。蝗生須と見る時盤。直尓その油越そゝ起。
蝗のひろがらざるうち尓用ふる故。油少し尓て蝗去り為せは。そ乃
患なしとなり。もつとも九州の御諸家かた盤。大躰その
備へありき。東北のうち尓ても。羽州秋田ばかりは。此備ありと
承りぬ。実尓ありがた起事也といへり。その書。気候の論。油
の善悪。油の用ひゆう。委しく載せた連と。既尓上木して。
世尓行る連ば。古々尓盤出さ須。志ある人盤本書を求めて
見るべし
補 再按。其後石灰尓て作連る米越食春る尓。味う春く。
秤耳かくる尓目方も軽る希連ば。米の性盤悪し具成
と見えたり但し人尓毒なる古登盤なき也。また石灰の
肥盤。山方草作りの田尓利多くして。平地の田耳盤
《割書:増補 大倉徳兵衛|が。豊稼録耳。》
《割書:/鯨(くじら)油の利越|/委(くわ)しくいへり。僉》
《割書:先年秋後尓|むしのつきたる尓。》
《割書:田へ流し古むべ|き時尓あらねば。》