翻刻
者なれば。救ふとても間尓合ざ連ば。詮なかるべし。且又早く
救へば。費すくなうして功多く。おそけ連ば。費多くして功少き
よし。荒政要覧など尓も論し置け里。其仕方は種々り。
下の條々尓て考ふべし〇/漢(かん)能/武帝(ぶてい)の時。/河内(かだい)の地尓。大耳
失火阿りければ。汲黯(きうあん)といふ人をやりて。/視(み)せし望る尓。/黯(あん)かへり
ていへる盤。火災はさのみ/憂(きづかひ)とするに足ら須。/臣(わたくし)盤河南能地を/過(よぎり)
し尓。貧人とも水旱尓そこなは連たる者。萬餘家尓及ひ。食物
なくして。父子相食ふ尓至連るを見及け連ば。/仰(おふせ)なりと申て。
河南の御倉の/粟(もみ)を出さしめ。貧民ともを/賑(春く)へり。志かしながら。
行といつはりたる罪尓行は連候様尓といひければ。武帝感し
亭ゆるしける〇/後漢(ごかん)の/韓韶嬴(かんしやうゑい)の長たりし時。飢饉尓て
他領の流民。萬餘家徒どひ来りければ。/韶(しやう)倉を開て/賑(すく)ひ
ける尓。倉役人是は御上の物なりといひける尓。たとひ罪せら
るゝ共。/笑(ゑみ)を含んて死すべしといひて承引せざりき。大守も
平生韶の名徳を知りし故。とがめもなかりける。〇宋の/環(くわん)
/慶路(けいろ)大尓餓し時。/范純仁(はんじゅんじん)その/帥(そうつかさ)となりて来里ける尓。/餓(ゆき)
/殍(だをれ)路尓みちけ里。外尓米なかりけ連ば。/常平倉(志ようへいさう)をひらいて。すく
はん登いひし尓。/州懸官(ところのやくにん)ひしひまゝ尓倉越開かば大罪阿るべしと
いひし尓。純仁いへらく。環慶一路の/生霊(たみくさ)を。某尓御任せあるからは。
ゐながら其死をみて。すくはざる扁けんやといひてきか須。みな〳〵