翻刻
人夫/遣(つか)ひ少け連ば。川さゝへ路作り。堤普請等の。多く人夫を遣ふ
尓は志かざるべき也。さ連ど品尓より。一/概(がい)尓いふべから須。豪家/抔(など)
をもすゝめて。普請をさすべし。豪家を思ひ徒かする尓。三ツの
利を以てすべし。一尓盤めい〳〵注文の年を心や春く成就する
といふことなり。一尓盤此をもて貧民を救はゞ。/大陰徳(だいいんとく)となりて。
/果報(くわほう)よろしといふこと也。一尓盤貧民渡世のわざを得ば。富
人をうらみ。一揆/徒党(とたう)して家屋敷を打こは須ことな登
なかるべしといふこと也。此三ツをもて勧むべし。〇/斉(せい)の/累公(るいこう)
の時。/餓(うへ)しかば。/妟子(あんし)/粟(もみ)を/發(いだ)して。民をすくはんと/請(ねが)へども。
公/許(ゆる)さ須。折節/路寝(おもてごてん)の/臺(うてな)を作ることありしかば。/晏子(あんし)/吏(やく尓ん)尓
命じて。やとひ/賃(ちん)を/重(おほ)くして。/日限(尓ちげん)を/徐(ゆるやか)尓せし尓。三年たちて
/臺(うてな)成就し。民も食尓不足なし〇宋の/趙抃(てうへん)。/越州(ゑつ志う)尓/知(ぐんだひ)たりし
時。歳大尓餓しかば。いろ〳〵/賑(春く)へる上尓。小民ども四千百人を
/傭(やと)ふて。城越修復し。三萬八千工の料を厚くして給へしかば。
民ともたすかりしと也。〇宋の/皇祐(くわういう)二年。/呉中(ごちう)大餓なりし
時尓。/范文正公仲淹(はんぶんせいこうちうゑん)。/浙西(せつせい)越/領(連う)せら連たりける。粟を/發(いた)しなど
して。賑ひ筋甚/備(そな)はりたる上。/呉人恐競渡(ごひとかいtかいと)をこのみ。又仏事越
このみしかば。民ども尓競渡をゆるし。/太守(ぶぎやう)尓も。自身出て
湖上尓宴游な登し。/居民(ところのたみ)春より夏まて。/巷(ちまた)を/空(から)尓して出て
遊びき。太守また/諸(もろ〳〵)の仏寺をよび出して。かゝる/歳柄(としがら)尓盤。/工(やとひ)