翻刻
【枠外上に五と有】
炮䑓(だいば)のあるみなとに碑(ひ)あり・了欖新森城(りやうらんしん〳〵しやう)と・中字に彫(ほり)て・
下に文(ぶん)を刻(こく)するは・尚清王のたつるところ也と・又一 石(せき)は■【梵字】
かくのごとき梵字をゑりて・下に文をきざめりいつれも解(げ)
すへからさるよしを・周煌がしるせるは・和文なるべし・
【枠外上に六と有】
辻(つぢ)山の護国(ごこく)寺は王の祈願所(きぐわんしよ)なり・此寺の不動明王(ふとうめうわう)・ことに霊(れい)
厳(げん)にして・国中みな尊信(そんしん)す・王みつから参詣(さんけい)し・僧徒集会(そうとしうくはい)
して・讀經(どくきやう)ひとしほ殊勝(しゆせう)なりと・國人もつねにこれを拝(はい)す・
佛前(ぶつぜん)に銅(あかがね)をもてせいしたる鉢(はち)に・水をたゝへて・その数(かづ)十を備(そなふ)・
佛燈(ぶつとう)ひかりをゑいじて・水上にきらめく・これを・ヲカゲヒカナシ
と云・拝するもの水中にゆびをうるほして・あるひはなめ・或は
【十二頁左】
ひたいにそゝぎて・合掌(がつしやう)していはく・キライカナイ・オホツカクヲク・
ナムフドウメウワウ・セウマイアンマア・ヲケカヲイナコ・ツヽゲノキンマモン
〳〵と数(す)へんとなへて・拝伏(はいふく)す・これを佛事(ぶつじ)と称す・
【枠外上に七と有】
波上(はしやう)寺 境内石筍崖(けいだいせきしゆんがい)といふは・中山八景に一にして・海望無双(かいぼうぶそう)
の地也・岸(きし)のうへに・八幡宮(はちまんぐう)ありて・毎年(まいねん)八月十八夜・国中の
男女・うちつどひて・海潮(かいてう)を眺望(てうぼう)し・遊宴(いうゑん)あかつきを侵(おか)す・
此地に阿弥陀堂(あみだどう)ありて・左右に観音薬師(くわんおんやくし)の両堂(りやうどう)をたつ・
尚豊王のたつる所也・阿弥陀堂中は像(ぞう)なく・たゞあかがねの
札(ふだ)に・奉(たてまつる)_レ寄御幣(よせごへい)の四字を刻(こく)して・その下に國の咒辞(しゆじ)をゑり・
うらに天和八年壬戌とのみをしるす・