翻刻
【十九頁右】
【枠外上に十四と有】
此国 竒(き)なることは・託女(たくぢよ)ととなへて巫女(ふじよ)おほく・民間にこと〴〵く
これを信(しん)ず・毎年正三五九月を・吉月(きちげつ)として・家々いはひたの
しむ・朔望(さくぼう)【陰暦で、月の朔日と十五日のこと】には・早朝(さうてふ)より・かの託女をまねきて・荒神(くはうじん)ば
らひの如き祈祷(きとう)あり・託女のまへに・八重山酒(やえまさけ)《割書:みりんの|如き酒也》一 盃(はい)
を盆(ぼん)にのせていだす・第一に・シネリキユ・アマミキユ・あまつかみ・
うなはらのかみ・八幡宮・天満大自在天神を拝(はい)し・爲朝公より代(よ)々
の賢王(けんわう)の御名(みな)をとなへ・琵琶(びわ)を弾(たん)じなから・法華經(ほけきやう)・礼文(らいもん)を
だみたるこゑにて・いともなかきふしにとなふ・荒神といふは・天孫
神のことのよしにて・祈祷神慮(きとうしんりよ)にかなふをキメテスリと云・祈(いのり)終(おはれ)ば
八重山酒をのみて・その盆へ札一枚をのせてかへる・図左のごとし・
【十九頁左】
荒神ばらいの図
此札國中家〳〵にはりおく 太田蜀山所蔵