翻刻!江戸の医療と養生

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病家心得艸 (上・下) - 翻刻

病家心得艸 (上・下) - ページ 9

ページ: 9

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【右丁】 薬(やく)を好(この)むあり瀉剤(しやざい)を好むあり温剤(うんさい)【左ルビ:あたゝめ】ぎらひあり寒(かん)【左ルビ:ひやす】 剤(ざい)ぎらひあり温補(うんほ)を好む人は補薬(ほやく)さへ用ゆれば命(いのち) の延(のび)る様(やう)に思ひ道三流(どうさんりう)の医者を招(まね)きかりそめの 疾(やまい)にも人参(にんじん)の入る薬をのみ却(かへつ)て大病(たいびやう)となるもの有(あり) 又大病にて専(もつは)ら攻撃(こうげき)すべき症(しやう)にても古方(こはう)家の療(りやう) 治(じ)はあらきとて招(まね)かす瀉剤(しやざい)【左ルビ:くだし】は脾胃(ひい)に害(がい)ありとて用ひ ず終に不治(ふじ)【左ルビ:なをらす】となるあり又 寒涼攻撃(かんりやうこうげき)を好む人は後世(こうせい) 医者(いしや)はぬるし古方家こそおもしろけれとて当(とう)ぶん の感冒(がいき)にも白虎湯(びやくことう)の大柴胡湯(だいさいことう)のといふをよろこび常(つね) に三 黄丸(わうぐはん)抵當丸(ていとうぐはん)などを用ひ過(すぎ)て命(いのち)を損(そん)ずるあり 【左丁】 病家すへて此癖(このくせ)ありて假令(たとひ)医者を轉(てん)ずれとも温剤(うんさい) を好(この)む家(いゑ)は温薬(うんやく)つかい斗(ばかり)を招(まね)き寒剤(かんざい)を好(この)む家(いゑ)には 寒薬つかいばかりを招(まね)くたま〳〵了簡(りようけん)のかはりたる医者 きたれば其薬(そのくすり)を用(もち)ひずこれ大なる誤(あやま)りなり先医(せんい)の 薬にて効(こう)なきものなればたとひ心に叶(かな)はずともかはり たる了簡(りようけん)の医者を用ゆべしさすれは医を轉(てん)【左ルビ:かへる】ずるの 功あり又 近頃(ちかころ)の医者は病人にあたらぬ様(やう)にとて 平和(へいわ)【左ルビ:やはらか】なる薬方(やくはう)ばかりにて療治(りやうぢ)するゆへ軽(かろ)き病は 自然(じねん)と治(ぢ)し少(すこ)しにても病勢(びやうせい)つよけれは薬力 病勢(ひやうせい)にまけて傷寒(しやうかん)などの大熱(だいねつ)をうぢ〳〵とすて