翻刻
【右丁】
ゆれば正月より三月までは人 生(うま)れて廿歳(はたち)までのごとし初(はつ)
春(はる)の陽気(やうき)充満(みち〳〵)て万物(ばんもつ)発精(はつせい)するの時(とき)にて人の成長(せいちやう)も
学問(がくもん)に入り芸術(げいじゆつ)を学(まな)ぶもこの時に在(あ)り三月より五月
までは人の三十 歳(さい)なり身(み)を備(をさむる)も名を成(なす)も此頃(このころ)の修(しゆ)
行(ぎやう)にあり五月より七月までが四十歳なり七月は初秋(はつあき)
四十歳は初老(はつおい)なり初秋より草木(さうもく)も衰(おとろ)ふのはじめ
人も元気(げんき)の耗(へ)るの
始(はじめ)なりされば養(やう)
生(じやう)といふ事も
此頃(このころ)より心がくべしさて
【左丁】
七月より九月までが人の五十 歳(さい)也五 穀(こく)も九月までに実(み)のり人も
五十にして身(み)修(をさま)る時也ゆゑに聖人(せいじん)も四十五十にして聞(きこ)ゆることなき
はおそるゝにたらずといへり九月より霜(しも)月までが人の六十歳なり
六十年は天の一 周(めぐり)
人も六十歳が天 寿(じゆ)
の一 代(だい)ゆゑに六十一
を還暦(くわんれき)の賀(が)
といふ