翻刻
【欄外】 手引草 上 十
【右丁】
目(め)は肝(かん)の臓(ざう)からつゞく肝の臓 精気(せいき)強(つよ)ければ眼力(がんりき)つよし【上部に両目の図】
精気(せいき)衰(おとろ)へば眼力 弱(よは)し四十の初 老(おい)をこゆれば人の秋
なるゆへ肝の臓の精気もやゝ衰ふゆへ細字(さいじ)などよみがたし
目には膜(まく)といふうすき皮(かは)三重(みへ)にかゝりてその内に水のやうなる
神液(しんえき)の純粋(ごくすみたる)がありて見るものこれにうつるなりその仕懸(しかけ)の
おほかたは魚(うを)の目をみて知(し)るべし○眉毛(まゆげ)は目の塵除(ちりよけ)そのうへ
にも睫(まつげ)ありてちりをふせぐ天の妙工(めうこう)を知るべし
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人の胎内(たいない)に在(あ)る内(うち)鼻(はな)まづ形(かたち)を成(な)す故(ゆへ)に第(だい)一 番(ばん)の先(せん)【上部に鼻の図】
祖(ぞ)を鼻祖(びそ)といふ鼻は肺(はい)の臓(ざう)につゞく肺(はい)気(き)和(わ)すれば鼻
よく物(もの)を臭(かぎ)わける肺(はい)熱(ねつ)すれば洟(はなみべ[づヵ])出る風をひきて
【左丁】
しきりに鼻水(はなみづ)の出(いづ)るは邪熱(じやねつ)肺(はい)の臓(ざう)に在(ある)ゆゑ也
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口(くち)は胃(ゐ)【月+胃】の腑(ふ)へつゞく胃(ゐ)の腑(ふ)は食物(しよくもつ)を入る袋(ふくろ)なり【上部に口の図】
口の広(ひろ)さ二寸五分 喉(のど)まで三寸五 分(ぶ)を人の定尺(ぢやうしやく)とす
いかほどの美味(びみ)をたべるとも咽(のど)三寸のあひだなり
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歯(は)は骨(ほね)にしたがふ女(をんな)の子(こ)は七月(なゝつき)にして歯(は)生(はへ)はじめ七 歳(さい)【上部に歯の図】
にして歯(は)齠(かはり)七八五十六にして歯力(はりき)衰(おとろ)ふ男(をとこ)の子(こ)は八月に
して歯(は)生(はへ)はじめ八 歳(さい)にして歯かはり五八四十にして
歯力(はりき)おとろふ上下の歯(は)は八 枚(まい)づゝあるを定数(ぢやうすう)とす
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舌(した)は心(しん)の臓(ざう)につゞくゆゑに五味(ごみ)のあぢはひをしる又【上部に舌の図】
釈名(しやくめう)といふ書(しよ)には食物(しよくもつ)をのせておとさぬ為(ため)といへり