翻刻
【欄外】 手引草 上
【右丁】
肋骨(あばらぼね)といふが十二 枚(まい)づゝあり此(この)骨(ほね)は五 臓(ざう)六 腑(ふ)の囲(かこひ)なり
十二 枚(まい)のうち八枚を胸(むね)といふ痩(やせ)たる人は探(さぐ)り
てもよく知(し)るゝ也 此外(このほか)の骨(ほね)〴〵は小冊(せうさつ)に
尽(つく)しがたし
○口(くち)は飲食(いんしよく)腹(はら)に入(い)る関門(くわんもん)也
関守(せきもり)疎(おろそか)なれば悪僕(わるもの)まぎれ入(い)りて
国(くに)の災(わざはひ)なるがごとく人の食傷(しよくしやう)するは口(くち)の
関守(せきもり)がおろかにて酢章魚(すだこ)が通(とほ)りて間もなく
鰻(うなぎ)のかばやきを通(とほ)し夜中(よなか)に玄伯(げんはく)さまよびて
大騒(おほさはぎ)をするは口(くち)の関門(くわんもん)厳(げん)
【左丁】
ならざる故(ゆゑ)也○口より飲食(いんしよく)の腹(はら)に入(い)るに咽喉(いんこう)の二 道(みち)あり咽も喉
も のど(====)と訓(よむ)文字(もじ)なれ共○呼(つくいき)○吸(ひくいき)のかよふ のど(====)を喉といふ此 のど(====)は
肺(はい)の臓(ざう)へつゞく呼吸(こきう)するを一 息(いき)といふ息の数(かず)
昼夜(ちうや)に一万三千五百 息(いき)なり○咽といふ のど(====)は
胃(ゐ)の腑(ふ)へつゞく飲食を胃の
腑へおくりくだす道 筋(すぢ)なりこの
ゆゑに咽(いん)を食道(しよくだう)とも
食 管(くわん)ともいふ喉を気(き)
道(だう)とも気管ともいふ
息のかよふ道(みち)なり