翻刻
【欄外】 手引草 上
【右丁】
【上部に肺の図と説明】
●咽(いん)の口
●のどに大 管(くだ)
ふた節(ふし)あり
このうちに
食道と気
道あり
●喉(こう)の口
●此管はなし
といふせつも
あり
【本文】
○肺(はい)の臓(ざう)図(づ)のごとし○咽喉(いんこう)を包(つゝ)む大 管(くだ)
ありて此(この)管(くだ)の内(うち)に咽(いん)の食道(しよくだう)と喉(こう)の気(き)
道と二 筋(すぢ)の管(くだ)あり食道の方は飲(いん)食の時
ばかり口(くち)があいて物を下し常(つね)は息(いき)の
かよふ喉(のど)の方へひつたりとついて居る也
咽喉とは一ッ管の中にありて隣(となり)合せなる
故(ゆゑ)物を給(たべ)ながら言(ものいへ)ば両(りやう)口が明(あい)てゐる故
飯(めし)一粒(ひとつぶ)たりとも気道(きだう)の喉(のど)へ入る時は噎(むせる)か咳(せき)をする也是じやからもの
給(たべ)る時はべら〳〵もの云(いふ)べからず孔子(こうし)も食する時は不語(ものいはず)といへり物
たべるに心(こころ)得あること食養生(しよくやうじやう)の条(くだり)にいふべし○息するのんどに会(ゑ)
【左丁】
厭(ど[え?]ん)といふ物まとふ是は五 音(いん)を分(わか)つ物也 笛(ふえ)に管(くだ)のあるに同(おな)じ
又 咽(のど)を探(さぐ)りてみれば瘤(こぶ)のやうなる物あり俗(ぞく)には咽 仏(ほどけ)といふ是を吭(ふえ)と
いふ音律(おんりつ)の調子(てうし)をなすは此吭にありゆゑに笛(ふえ)と訓(よみ)を同じくす
吭(ふえ)すこしにても疵(きず)つけば命(いのち)をはる○右の図(づ)にあらはしたる肺(はい)の臓(ざう)
は蓮花(れんげ)をさかさになしたるやうの形(かたち)にて八葉(やひら)ある内二ひらは少し
長(なか)し背骨(せぼね)の三椎目(みふしめ)に附着(つい)てあり辺は白瑩(すきとふり)て胸(むね)一はいにひろ
がりて下に在る臓腑(ざうふ)を覆(おほ)ふこと傘(からかさ)になるがごとし呼吸(つくいきはくいき)度々(たび〳〵)
に右の蓮花のはなびらのやうなるがふはり〳〵と動(うご)く也これが十
二の脉(みやく)にひゞく肺(はい)は人骵(じんたい)の橐籥(ふいご)也(なり)と医書(いしよ)にもいへり
○口に物たべて齧(かみ)くだきてあらこなしをなし咽(いん)の食道より胃の