翻刻
【右丁】
腑へおくる胃(ゐ)は心下(むなさき)のまん中(なか)鳩尾(きうび)といふ所にありて食道(しよくだう)より
つゞく口にありて咽(のど)より来(きた)りたるあらこなしの食をうけおきめ
胃袋(ゐぶくろ)彭(はり)【膨】張(ふくれ)右の隣(となり)にある肝(かん)の臓(ざう)胃のふくれに圧(おさ)れ又
肝(かん)に取つきてゐる膽(たん)の府(ふ)【腑】の鶏卵(たまご)ほどなるものも胃のふくれに
おされ肝と膽(たん)との管(くだ)の口より黄色(きいろ)にて苦(にが)くて烈(はげし)く火気(くわき)のある
汁が管よりつゞく胃の袋へ入り肝膽(かんたん)の苦汁(にがしる)にて食物をとら
かし消化(こな)し又 膵(すゐ)といふて牛(うし)の舌(した)のやうなるもの胃袋について
ゐるも胃のふくれにおされ胃にかよふ膵(すゐ)のくだより汁を入る是は
食をとらすのみならず濁(にご)る物を収斂(しめよせ)て清(すま)す物也○肝(かん)と膽(たん)と○
膵(すゐ)との液汁(ね?ばしる)の力(ちから)にて食物を消化し大腸(ひやくひろ)へおくり百ひろをぐる〳〵▲
【左丁】
【上段】
【胃の絵と説明】
食道(しよくだう)
胃(ゐ)【月+胃】袋(ぶくろ)
のびもし
ちゞみもする
ものなり
●下の口
百ひろにつゞきすゑは肛(こう)門に
いたり大 便(べん)を出し岐(ふたまた)の管(くだ)ありて
小便をいたす●胃(ゐ)府(ぶくろ)【腑】は食(しよく)を受(いれ)
ること一 斗(と)五 升(せう)にて満(いつはい)なり胃(ゐ)は
六府(ふ)【腑】の大将(たいしやう)也と医書(ゐしよ)にいへり
此 胃(ゐ)袋を見て大 食(しよく)をなす
を慎(つゝし)むべし
【下段】
▲めぐる間に猶(なほ)又よく
こなれるは臼(うす)を
挽(ひく)やうな
から
くり
なり
○胃
にてこなしたる
精汁(せいじふ)は心(しん)の臓(ざう)へおくりて
骵(たい)を養(やしなひ)となし分(わけ)たる滓(かす)は
膀胱(はうくわう)《割書:ふく|ろ》へおとして大 便(べん)となし
【欄外】 手引草 上