翻刻
【右丁】
食のみを納(い)れ脾(ひ)の臓(ざう)は飲物(のむもの)ばかりを納(い)る脾(ひ)は胃袋(ゐぶくろ)より
ちいさしこれゆゑに大酒をすれば脾(ひ)の臓(ざう)に充満(みち)て彭(はら)【膨】張(ふくれ)宿(もち)
酒(こしさけ)脾(ひ)中に腐(くさり)て命をちゞむおそるべしおそるべし〳〵
【上部に心臓の図と説明】
此 管(くだ)腎(じん)の臓(ざう)へかよふ
このくだ肝(かん)のざうへかよふ
この脾のざうへかよふ
心(しん)の臓(ざう) ○心(しん)の臓(ざう)は肺(はい)の脇より岐(ふたまた)にわかれてかゝる
形(かたち)は蓮花(れんげ)の莟(つぼみ)をさかしまになしたるやうな物なり
大 管(くだ)に小枝 図(づ)のごとく在(あり)て○腎(じん)○肝(かん)○脾(ひ)の三 臓(ざう)にかよふ心(しん)の
臓(ざう)は血の袋(ふくろ)也 胃(ゐ)のざうより通(かよ)はす食物の精汁(せいじう)を心の臓
で血に化(な)し皮肉(ひにく)の筋(すぢ)〳〵へ周(めぐ)らして人躰(じんたい)を潤(うるほし)補(おきなふ)が心の臓
【左丁】
の役目(やくめ)也その循(めぐ)る仕懸(しかけ)は心(しん)の臓(ざう)の内(うち)に右室(うしつ)といふがあり動(どう)
血脉(けつみやく)静(せい)血脉といふ二筋(ふたすぢ)ありて肺(はい)の臓の引息(ひくいき)に天地の
気(き)を通(かよ)はす力(ちから)によりて心の臓が強(のび)たり縮(ちゞ)みたり
して動血(どうけつ)静(せい)血の二管(ふたくだ)より諸(しよ)筋へ
血(ち)をかよはし皮肉(ひにく)を潤(うるほ)し養(やしな)ふ
こと玉川上水(たまがはじやうすゐ)があまたの
井戸(ゐど)へ水(みづ)を通(かよは)すが
ごとし○此(この)心(しん)の臓は
胸先(むなさき)の所(ところ)にあり血は一身(いつしん)にかよは
ざる所なくその源(みなもと)は心(しん)の臓(ざう)なり