翻刻
【右丁】
【上部右に肝臓の図】
肝(かん)の臓(ざう) ○肝の臓(ざう)は肚中(はらのなか)の主君(しゆくん)也と医(ゐ)書にも
いへり係慮(はかりおもふ)これより出る形(かたち)は左り三ッ葉(は)
右四ッ葉のたれあう内は彭張(ふくれ)て苦(にが)く黄(き)なる
液(ねばり)水あり腎(じん)の臓(ざう)のまへ胃(ゐ)の臓にならびて
背骨(せほね)の節(ふし)の九ッ目につきてあり肝癪持(かんしやくもち)じや肝 症(しやう)じや
などゝいはるゝも肝(かん)の臓より出る心なりすこしのことをも怒(いか)り
丁稚(てつち)をぶちのめすも肝の火がたかぶるゆゑ也肝を きも(====)と
訓(よみ)思按(しあん)分別(ふんべつ)みな肝より出る也さるからに腹(ふく)中の主君(しゆくん)又は
将軍とも医書(ゐしよ)にみへたり肝の力強(ちからつよ)きは利口(りこう)弱(よは)きは馬鹿(ばか)也
○膽(たん)は六 腑(ふ)の一ッなり形(かたち)は瓠(ふくべ)を懸(かけ)たるやう也膽は和名(わみやう)を膵([す]ゐ)と
【左丁】
いふ きも(====)とは不訓(よまず)肝膽(かんたん)の二ッは人の心の出所(でどころ)也肝の臓(ざう)に
並(ならび)て在(あ)り膽(たん)の力強(ちからつよき)は潔白(きれい)をこのみ弱(よは)けれは
穢悪(きたなき)をかまはず
【上部に膽の図】
○膽(たん)の腑(ふ)
【上部に膀胱の図と説明】
○背骨(せぼね)の十九
○膀胱(ばうくわう)の腑(ふ) 節(ふし)に在(あり)て大腸(ひやくひろ)に
《割書:のびたり|ちゞみ》 隣(とな)る腎(じん)の臓(ざう)にて血(ち)を■(こし)分(わけ)
《割書: たり| する》 たる塩気(しほけ)のある渣(かす)を輸屎管(ゆしくわん)
といふ管(くだ)より膀胱(はうくわう)の腑(ふ)へおくり入るか溺(しやうべん)になるなり人躰(じんたい)の精(せい)気