翻刻
【右丁】
○懐妊(くわいにん)する訳(わけ)いかんとなれば阴阳(いんやう)和合(わがふ)感通(かんつう)するの時女の阴精(いんせい)
常(つね)よりも十分(じふぶん)にすゝむ勢(いきほひ)につれてかの子宮(しきう)張(はり)いだし卵巣(らんそう)もそれ
にひかれてすゝみ出(いで)感通(かんつう)至(いた)り極(きはま)る時子宮の口 朝皃(あさがほ)の花(はな)の開(ひら)
くがごとくなる時 男精(いんせい)もおなじく感通いたりきはまり淫汁(いんじふ)を子(し)
宮(きう)の口(くち)へ弾(はじ)き入る時すゝみいでたる卵巣(らんそう)の内(うち)の一卵を子宮(しきう)の
内へ淫汁(いんじふ)とともにはじき入るこゝで阴阳(いんやう)の精気(せいき)よはり一卵を入れ
たる子宮(しきう)の口もとのごとくしまりて子宮(しきう)も卵巣(らんそう)も常の所へしりぞく也
一 卵(らん)子宮に入りてより血(ち)をもつて子宮をとりかこみあたゝめて人になす▲
▲これゆゑに女には
月やくありたね ○ここに一ッ大せつなる論(ろん)あり○およそ貴(たうとき)も
やどざれば月や 賤(いやしき)も血(ち)すぢじやの御家(おいへ)の胤(たね)じやのと
【左丁】
く
もれいづる いふことは男に在(ある)こと女にはあ
づからず但(ただ)し本妻(ほんさい)の産(うみ)
たると妾腹(せうふく)との差別(しやべつ)は
あれども家の血筋(ちすぢ)と言
は男(おとこ)の血(ち)すぢを本(もと)とするには和漢(わかん)古今(ここん)の
令格(れいかく)なりしかるに女に子種(こだね)ありて男に
子種(こだね)なきを男の血すぢとは何(なに)ゆゑぞ
と疑(うたが)ひ惑(まど)ふ人あるべし一 応(おう)は然ること
ながら然おもふは非(ひがこと)也いかんとなれば
女に子種(こだね)ありても其種はいまだ