翻刻
【右丁】
には陰陽(いんやう)和合(わがふ)感通(かんつう)いたり極(きはま)る時なく又四ッには天質(うまれつき)て子宮(しきう)の口
横(よこ)へゆがみて子種(こだね)を入らざる又五ッには婦人(ふじん)下焦(げせう)に病(やまひ)ありて
人卵(じんらん)子宮(しきう)に入りても腐(くさり)て人 骵(たい)を不成(なさず)婦人に子 無(なき)は大方(おほかた)此五ッに有(あり)
○江戸 京橋(きやうばし)銀座(ぎんざ)一丁目京傳 店(みせ)に男 大腎薬(だいじんやく)女 妊薬(はらみぐすり)懐妊(くわいにん)丹と
いふねり薬あり《割書:一廻り五匁|半才二匁五分》男は六十以上たりとも腎精(じんせい)を増補(ぞうぼ)して
若(わか)からしむ用ひとしるべし女は五十い上たりとも紅潮(つきやく)みる内なら
ば妊(はら)む事 必(かならず)験(しるし)あり能書(のうしよ)に妊(はらむ)しかた記しあり売薬(ばいやく)をこゝに
しるすは利慾(りよく)の為とおもひ給ふべけれど然(さ)にはあらず用ひ
玉ひて安産(あんざん)ありし人 近辺(きんべん)にも度々ありしゆゑ子なき御方用
ひ給ひてその症(しやう)に的中(てきちう)し平産(へいさん)あらば闇夜(あんや)に趙璧(たま)を拾(ひろ)ひ
【左丁】
たるごときの賀(よろこび)あるべしとて筆(ふで)のつひでしるしはべる
○双生(ふたご)といふは陽精(やうせい)人にまさりて強(つよ)く
人卵(じんらん)を二 粒(つぶ)子宮(しきう)へ弾(はじ)き入れ婦人(ふじん)も
神気(じんき)人にまさりて壮健(さうけん)なるゆへ
二粒ながら人になりたる也三ッ
子(ご)も又此ごとし○双子(ふたご)をふ祥(じやう)と
するは非(ひが)こと也 景行天皇(けいこうてんわう)も双生にまし〳〵けり又
双生(ふたご)は先(さき)に生(うま)れたるを弟(をとゝ)となし後(のち)に生れたるを
兄(あに)とすといふは俗説(ぞくせつ)にてその例(れい)物(もの)にみへず
先(さき)なるを兄とすること慥(たしか)なる例(ためし)神代巻(じんだいのまき)にありと静石屋(しづのいはや)といふ