翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション2

(無病長寿)養生手引草 2巻 - 翻刻

(無病長寿)養生手引草 2巻 - ページ 49

ページ: 49

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【右丁】 鱣(ぎ)にしくはなし千年(せんねん)の昔(むかし)万葉集(まんえふしふ)の歌(うた)にも老(おひ)の薬(くすり)となる よし賦(よめ)り老人(らうじん)はをり〳〵食(しよく)すべし小児(こども)は虫(むし)を殺(ころ)すの効(こう)あり ○前(まへ)にも図(づ)を出(いだ)していへるごとく物(もの)をたべる咽(のど)と息(いき)をする喉(のど)と 二道(ふたみち)ありて隣合(となりあはせ)の管(くだ)なり息(いき)をする管(くだ)といふこれも のど(====)と訓(よむ) なり息(いき)をする喉(のど)は常(つね)に口(くち)があいてをり物(もの)をたべる咽(のど)の管(くだ)は食(たべ) る時ばかり開(ひら)きてたべる時はその管(くだ)気道(きだう)の喉(のど)へひつついてをる なりこれゆゑに餅(もち)など食道(しよくだう)の咽(のど)へつかゆればその彭張(ふくれ)にて気(き) 道(だう)の喉(のど)つまりて死(し)せし人まゝあり又 物(もの)を吸(すひ)てたべる息(いき)は気道(きだう) の喉(のど)より出(いづ)るそれゆゑすふ息(いき)強(つよ)ければたべたる物(もの)を気道(きだう)へすひ こむことあり飯(めし)一粒(ひとつぶ)たりとも気道(きだう)へ入(い)ればむせるか咳(せき)をして吐(はき) 【左丁】 出(いだ)すなり気道(きだう)へは天地(てんち)の気(き)より外(ほか)入(い)れる物(もの)なし ○こゝに一ッ心得(こゝろえ)おくべきことあり今(いま)より三十 年(ねん)ばかり以前(いぜん)京山が 識人(しるひと)某(なにがし)或(ある)御家(おいへ)の用人(ようにん)をつとめて半老(はんらう)の人なりしに蜆汁(しゞめじる)を たべるとき蜆(しゞめ)の実(み)を吸(すひ)とらんとして引息(ひくいき)を強(つよ)くしたるゆゑにや 小(ちいさ)き蜆(しゞめ)の貝(かひ)の片(かた)われを気道(きだう)へ吸(すひ)いれ咳(せき)をしてもいでず息(いき)に つれて蜆貝(しゞめかひ)上下(うへした)へうごくゆゑ気道(きだう)の管(くだ)を摺(すり)て気道(きだう)瘇(はれ)ふさがり て息(いき)もたえ〴〵にて苦痛(くつう)に堪(たえ)ず飲食(いんしよく)不通(ふつう)百薬(ひやくやく)の医療(いれう) 効(しるし)なく十日ばかりくるしみて死(し)するときの遺言(ゆひごん)にこの御 家(いへ) あらんかぎり上(うへ)〳〵の御 方(かた)〴〵に蜆汁(しゞめじる)上(まい)すときはかならず振(ふり) 蜆(しゞみ)にして奉るべし御 好(このみ)給ふとも売(うら)ごとは奉るべからず我(わが)遺言(ゆひごん)也と申上