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【欄外】手引草 下
【右丁】
しびんを用(もち)ひたりと見ゆ老人(らうじん)の長生壺(ちやうせいこ)さらに耻(はづ)べき事
なし老人(らうじん)の父(ちゝ)をもちたる人は長生壺(ちやうせいこ)を作(つく)りて父(ちゝ)をやしなふべし
○魔除(まよけ)の禁厭(まじなひ)の呪文(じ[ゆ]もん)
僅(わづか)なることにてもまじなひのしるしあるは奇妙(きめう)不思議(ふしぎ)なる物にて
人知(じんち)をもつては測(はかり)しりがたしそも〳〵禁厭(まじなひ)といふこと神代(じんだい)よりありて
大穴牟遅少名彦名命(おほあなむちすくなひこなのみこと)その法(ほふ)をさだめ玉ひしなり昔(むかし)清輔(きよすけ)
朝臣(あそん)の撰(えら)みたる帒冊子(ふくろさうし)といふ書(しよ)に魔除(まよけ)の誦文(じゆもん)あり「加太(かた)
志也波(しやは)、津可世瀬久理尓(つかせせくりに)、久女流酒(くめるさけ)、手酔足酔(てゑひあしゑひ)、我(われ)
酔仁計理(ゑひにけり)【注】」といふ誦文(じゆもん)なり是(これ)は今(いま)八幡宮(はちまんぐう)とまつりたて
まつる応神天皇(おうじんてんわう)様(さま)須々許里(すすこり)といふ人のたてまつりたる
【左丁】
御酒(みき)に酔(ゑ)ひ玉ひて坂(さか)を越(こえ)
玉ふとき大石ありて道(みち)ふさ
がりたりしを御杖(みつえ)にて大石を
打玉ひければ其(その)石(いし)走(はし)り避(さけ)て道を
ひらきたる故事(ふること)也されば此歌(このうた)を誦(たなふ)
れば八幡宮(はちまんぐう)降臨(かうりん)まし〳〵て守(まも)り
玉ふゆゑ悪魔(あくま)を払ひ
途中(とちゆう)の災難(さいなん)はもとより諸(もろ〳〵)
【図中の台詞】 の禍(わざはひ)を遁(のが)ると国学(こくがく)に
《割書:〽かたしやはつかせゝ| ぐりにこめる酒》 名高(なだか)き伊勢人(いせのひと)本居大人(もとをりうじ)の
【注 「かたしやは」は「かたしはや」が正。又「つかせせ」は「えかせせ」「えかせに」「わがせせ」等の異文有り。因みに、京都大学附属図書館蔵の袋草紙巻四の「誦文哥」の項に「夜行途中哥 かたしはやつかせゝくりにくめるさけてゝゑひあしゑひわれゑひにけり」と有り】