翻刻
【欄外】
手引草
【右丁】
○右のまじない大 刃(ば)の物を埋(うづ)むは人のすること也 雄黄(いわう)を人にしら
さず懐中(くわいちゆう)するは妊婦(にんふ)みづからする事にてなしやすし御 寝間(ねま)の御奉(ごほう)
公(こう)する女中(ぢよちゆう)は此まじなひをなし給ふべし御男子(ごなんし)あらば其身(そのみ)ばかりに
あらず君(きみ)の御為なり
▲此条々(このでう〳〵)の外に●腹中(ふくちゆう)の事●気(き)養生(やうじやう)●食(しよく)養生(やうじやう)のこと●まじなひの
ことなど猶(なほ)書(かき)のすべき事あまたあれど小 冊(さつ)には尽(つく)しがたくて筆(ふで)を拭(ぬぐひ)ぬ
○猶養生の心を
朝(あさ)な夕(ゆふ)な手ならしながら心してつかへば筆(ふで)も長(なが)き命毛(いのちげ)
安政五戊午年弥生のはじめの日
九十翁 山東庵京山 【印 凉仙】
【左丁】
【一列目上段】
○読書丸(どくしよぐわん) 代 百六十四銅
第一きこんの薬腎をとゝのへ眼力をつよくし物
覚をよくすものにくつたくしてしんきつかれたる時
一粒用ひても心さはやかになること用ひて知るべし
大人小児多病にて常によはき人これを用
ゆれば万病をのぞき長寿する仙薬にて五
十年来うりひろめたる寿方なり
【一列目下段】
○《割書:御くすり|おしろい》白牡丹(はくぼたん) 百二十四銅
この品は私みせにておしろいるゐをはじ
めてうり候ときより今に五十年来
ひろめ申候としまの御女中方つけ
給ふうすげせうのおしろいなり御顔のでき
もの又はすこしのきりきずはれ物にはびん
付にねりまぜはり給ふべし妙なり
【二列目上段】
○《割書:男大腎薬|女はらみくすり》懐妊丹(くわいにんたん)《割書:一ざい 五 匁|半ざい 二匁五分》
男はかしらに霜をいたゞくとも是を用ふれば
腎勢わかき人のごとし女は五十い上たり共月やく
見るうちははらむこと妙なり三十年来うり
ひろめ候ゆへ此くすりにてやゝさまもうけ玉ひし
よし御名もきゝたる女中あまたあり
【二列目下段】
○《割書:十三味|薬あらひ粉》水晶粉(すゐしやうふん)《割書:一つゝみ| 百三十二銅》
第一常に用ふればいろを白くし一度用ふればかん
ばせ玉のつやありいかほどのあれしやうにてもおし
ろいよくのりて御かほにつやをいだす・にきび・そば
かす・いぼ・ほくろ・でき物のあとおつる・やけど・切
きず・しもやけによし・近年はいと〳〵かしこき
御あたりにても御つかひ游ばさる所あまたあり
【三列目上段】
《割書:江戸京橋銀座一丁目|東中程》【印 巴山人】《割書:山東|正舗》京屋傳蔵
【三列目下段】
《割書:地本|錦絵》問屋《割書:南伝馬町二丁目西側| 山田屋庄次郎》