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○龍眼肉(りうがんにく) うち割(わり)皮(かは)とたねをさりうどんの粉(こ)をせうがのしぼり
汁(しる)とやきしほ入(いれ)てころもにかけ芥子(けし)の油(あぶら)にてあげる
○栃餅子(とちもち) とちの実(み)と餅米(もちごめ)の粉(こ)せいろうにてむし白(しろ)ざとう
入てうすにて付(つき)のしてよきやうに切(きり)くるみの油(あぶら)にて揚(あげ)る
○九年母(くねんぼ) 皮(かは)ばかりを細(ほそ)く切(きり)て干置(ほしおき)たるを白(しら)しぼりにて上 ̄ル
○ふづく 上々のうどんの粉(こ)にさとうと山のいもおろし入てそばの
かげんにのしいろ〳〵の形(なり)に切(きる)或(あるひは)巻(まき)て小口(こぐち)より切(きり)又はむすび
さま〳〵に形(かた)つくりてしらしぼりにてあげる
但し常(つね)には玉子(たまご)を入ていもは入れずふちやは精進(しやうじん)なれば
山のいも入るなり俗(そく)にいふ小女郎ぐわしの上品なり
○蜜(みつ)したし 上々 古(こ)みりん上々せうゆすこし白ざとう入よく煮つめ
きぬどふしにてこして是にて煮る也
○菊(きく)びしほ 前(まへ)に漬(つけ)ものゝ部(ぶ)にある菊(きく)づけに同(おなじ)
○紅毛味(をらんだみ)そ 豆(まめ)をよくいりてこまかに引(ひき)わりとうがらしごま陳皮(ちんひ)
あさの実(み)けしなど上々の赤味(あかみ)そにまぜほうてうにてよく〳〵
切ませ此みそをこまのあぶらにていりてよき日に二日ほどほし
つけて手にてよくもめはきりあへのごとくなるなり
○じゆんさいさとう煮(に) みつしたじのやうにて又ことなり
白ざとうにみりん酒(しゆ)やきしほすこし加(くわ)へにかへしきぬごしにて
これにてじゆんさいを煮るなり
○しぼり汁(しる) 蕎麦(そば)にのみかぎりたる事(こと)也
木曽大根(きそだいこん)をあつき灰(はい)の中(なか)へしばらく入置(いれおき)おろして布(ぬの)ごし
にして焼(やき)みそをすこしすりて大根(だいこん)の汁(しる)にてすりまぜ
又 布漉(ぬのごし)にして遣(つか)ふなり
○油(あぶら)ずまし 胡麻(ごま)のあぶらをよく煮(に)かへしさましてたまりと
赤みそよくすり右のあぶらを入て又煮かへし毛(け)ずいのうにて
こし出 ̄スまへにあたゝめて出 ̄ス也
但しねぎめしねぎそばのるいに限(かき)るべし此(この)あぶらの
かげん筆(ふて)にはつくしがたし手がけて工夫(くふう)すべし
○七はい酢(ず) 酒(さけ)のみぢよくに酒二はい酢(す)一はいあかほじほ半分(はんぶん)
現代語訳
○龍眼肉 殻を割って皮と種を取り除き、うどん粉を生姜の絞り汁と焼き塩を入れて衣にかけ、芥子油で揚げる。
○栃餅 栃の実と餅米の粉を蒸籠で蒸し、白砂糖を入れて臼でついて伸ばし、適当な大きさに切って胡桃油で揚げる。
○九年母 皮ばかりを細く切って干しておいたものを白絞り油で揚げる。
○麩つく 上等のうどん粉に砂糖と山芋のすりおろしを入れて蕎麦程度の加減に伸ばし、いろいろな形に切る。あるいは巻いて小口から切る、または結ぶなど様々に形を作って白絞り油で揚げる。
但し普通には卵を入れて芋は入れないが、麩茶は精進料理なので山芋を入れる。俗にいう小女郎菓子の上品なものである。
○蜜煮汁 上等の古味醂、上等醤油少々、白砂糖を入れてよく煮詰め、絹漉しで濾してこれで煮る。
○菊味噌 前に漬物の部にある菊漬けと同じ。
○紅毛味噌(オランダ味噌) 豆をよく炒って細かく挽き割り、唐辛子、胡麻、陳皮、麻の実、芥子などを上等の赤味噌に混ぜ、包丁でよく切り混ぜる。この味噌を胡麻油で炒めて晴れた日に二日ほど干し漬けて、手でよくもめば切り和えのようになる。
○蓴菜砂糖煮 蜜煮汁のようで、また異なる。白砂糖に味醂、酒、焼き塩少々を加えて煮返し、絹漉しでこれで蓴菜を煮る。
○絞り汁 蕎麦にのみ限った調味料である。木曽大根を熱い灰の中にしばらく入れておき、すりおろして布漉しにし、焼き味噌を少しすって大根汁で擦り混ぜ、また布漉しにして使う。
○油済まし 胡麻油をよく煮返して冷まし、溜まりと赤味噌をよくすり、右の油を入れてまた煮返し、毛筋の篩で漉して、出す前に温めて出す。
但し葱飯、葱蕎麦の類に限るべきである。この油の加減は筆では尽くしがたく、手がけて工夫すべきである。
○七杯酢 酒の水割りに酒二杯、酢一杯、赤穂塩半分