翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション4

春風消息 - 翻刻

春風消息 - ページ 11

ページ: 11

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【右頁】  和気清麻呂(わけのきよまろ)など申す大人たちに候然れども今世に  なり候ては皆/家業(かげう)と/成(なり)候へば致かたも無之候へ共  医者(いしや)とあらむ者(もの)は万民の病患(びやうくわん)を救(すく)ひ天地/生生(せい〳〵)の  神功(しんかう)を助(たす)け候/意得(こころえ)にて貧賤(ひんせん)をおとしめず富貴(ふうき)  におもねらず只病を治(ぢ)するを我業(わがげう)と思ひ富貴と  貧賤(ひんせん)とに我心を動(うごか)さぬやうに有たきものに候もし  鄙吝(ひりん)の心を生(しやう)じ候へば富貴の家(いへ)に至(いた)る時 夫(それ)に信(しん)ぜ  られざらむことを恐(おそ)れ一向(ひたすら)に媚諂(こびへつら)ひのみしてその  奴僕(ぬぼく)のごとくに足恭(すうきよう)いたし候もの儘(まま)有之候さやうに  意立(こゝろだて)拙(つたな)く成候へば我(わが)得(え)たる術(じゆつ)もいつとなく鈍(にぶ)り 【左頁】  まさかの時には必ず迷途(まよひ)を取(と)り候ものに候また  富貴(ふうき)の人は此/諂諛(へつらひ)を受習(うけなれ)さふらふもの故に媚諂(こびへつら)はぬ  医者(いしや)をば嫌(きら)ひ候へども夫(それ)は其人の暗(くら)きにて吾(わが)拙(つたな)き  にはあらず唯(たゞ)忠誠(まこと)を失(うしな)はず候へは我術(わがじゆつ)はおのづから  亨(とほ)るものに候然れども今の世の中大かたは媚諛(へつらひ)を  用ざれは医業(いげう)も閑暇(ひま)に成申候さて閑暇(ひま)になれば種々(しゆ〴〵)  の妄想心(まうざうしむ)おこり候ものなり是故にいとまの隙(ひま)には読書(とくしよ)を  いたし候が宣(よろしく)候/古人(こしん)の書(しよ)を読(よみ)古人と応接(おうせつ)いたし居(ゐ)候  へば鄙吝(ひりん)の心は萌(きざ)さぬ物に候然るに学医(がくい)は匕(さぢ)がまはら  ぬといふことを申者も有之候是は不学(ふがく)の医者の己(おのれ)が