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口にも含み来る也蜂によりては門戸を堅めて番をし敵を防ぐ役も
あり蜂王は老蜂どもに囲遶せられて此かしこを飛かけり普請の
下知をなす者也
日の暮れば蜂共家の内に相集り声々に恀【夥ヵ】しき時其をしづむる
役を持たる蜂の二声三声出して制するかとすれば忽にしづまる也
又其声をしるべとして各一度に寝る者也然れ共盗人の用心として
夜番を勤むる蜂もあり郎従のざんがあのは中にも防ぎ難き家職也
夜は諸蜂の寝入たる次でを待昼は野に出たる隙を窺ひて蜜を盗みて
喰ふ也夜番のはちより夜盗を見付る時は即誅罰する事なく一往は
打擲を加へて赦す也昼の盗みを見出せば曽て赦さず則時に誅罰する
者也
夜明ぬれば又役者の蜂二声三声出して起すかとすれば衆蜂
目を覚し則出て面々の役を勤むる也若是に怠たるはちあれば其罪
甚深しとて即是を刺殺す者也罪を罰する事の緊しき如く又賞を
行ふ事も正しき也故に労苦して煩ふ蜂あれば由断なく養生を
加ふる事切也其為に家の口につれ出して日影にあて看病の蜂ども
傍を離れず食事を勧め痛はる也暮れば又夜気を猒【厭ヵ】ふかと覚えて
【枠外左 初巻四十七】