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故に女童部を害する事はまれ也去ば強きを制し弱きを救ふ志し
ある事真に百獣の王たる者也恥べし〴〵人倫の猛獣にだも劣りて
威勢富貴の人を諂らひ微力貧賤なる者を悩ます事を
一孔雀の雄は雌を思ふ事深くして片時も離るゝ事なし此故に
雌卵を暖むる程は必雄に付随ふ事叶はずそれに依て雄は卵を巣
より外に取捨て砕く也雌は此禍ひを脱れんとて巣をくふ所を如何
にも雄に隠す為に巣を出る時は羽音をもせずして忍び声をも立ぬ
者也又帰る時は先余所にて鳴声して後には音もせずして巣に入る也
是鳴たる所に巣やあらんとおんどりを忖る行也如此其子を巣立行が
故に世に孔雀の絶る事なし其程に此鳥の美しさを見るに喩ふべき
物なし花といはんとすれば花は零落して色を失ひ孔雀は死しても
其美麗衰へず玉に喩へんとすれば玉は其一ッにかゝる彩りある事なし
頂の上なる立物より初て頸の蓑毛のいろどり尾に連れる珠玉の
紋如何なる画師の彩色妙なる織女の巧みとても争か是には及ぶ
べきぞ全体羽毛の輝く事はさながら金糸をみだせるがごとし翼の色の
妙なる所は虚空に靉く虹に似たり今時の人多く此鳥を見るが故に
さして其美麗を驚かず昔いんぢやより初て是をげれしやの国へ渡し
【枠外右 二十ケ条】