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精なれば別して奇特とする者也
五一身建立の道具は其数多ふして品も又各々なれ共曽て相尅
する事なく互に仕へ互に孚む者也而も其賤は貴に仕へ貴は又賤を
はごくむ也喩へば歯は食を砕きて胃の腑に仕へ胃は食を消して大腸に
仕へ大腸は正味と糟糠とを分て肝に仕へ肝は血を生じて心に仕へ
心は血を気に化して頭脳に仕へ脳は全身第一の高き物なるが故にすぴ
りつあにまるを生じて四肢百節に賦り内外のせんちいどに精明を
与ふる者也他も又准之じて弁ふべし
又一身の内には更に無益なる物一ッもなし茲に益なしといへ共彼この
用をなし彼に余るかと見れば此不足を達する也喩へば肝はめらん
こりやを己が養ひの為に無益なりと捨れば脾是を請取て我
やしなひとするがごとし
去ば一身の中には百千の道具ありて面々各々の役を勤むる事も又不思
議也能々物に喩ふれば貧賤の門には従人すくなきがゆへに一人二人
して万の業を営むといへ共富貴の家には所従多くして各々の役を
なすごとく人間も下界の万物の霊長として ds 作り給ふが故に其
命根に仕ふる道具多ふして而も二ッの役を持たるはなし喩へば脾は
【枠外左 初巻五十七】