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脾の臓も肝より通路有てめらんこりやを引とり己れが養ひとする
者也而も人に飢を起さする事彼が役也其様体をいふに胃の腑に食
なふして空虚なる時めらんこりや脾の臓より出て胃に入れば胃の腑の
中の皮忽ちに縮まる也其時人是を覚えて食事の望み起る也如此
めらんこりや胃の腑を起さずんば人食事の望みなふして存命危きに
臨むべし然れば爰に一つの不思議ありめらんこりやは右の心得にいへる如く
其性土なれば重くして下るを能とし黄水は火の性なれば軽くして
上るを業とす然るに黄水は胆の腑より下なる大腸に下りて大便を
通じめらんこりやは脾の臓より上なる胃の腑に上りて飢を起す事
両ながら自性を背くに非ずや名医のあびせいなは元よりひろぞほ
にて万物の理を極めける人なれば是を大に驚き御作者の御計ひを
仰き尊ひ奉りし也もうろさへ如此し益てきりしたんに於てをや
さてまた痰飲は定りて納まる臓腑なし全体に打散て身の潤ひと
なる者也爰に人の飲む湯水等の事をいふに惣じて此等ののみ物は
身の養ひとならずといへ共養ひの合力となる者也先胃の腑にて
食を銷鑠する時湯水をもて是を和解し又消化して臓腑に移り
血と成て全身を廻る時も其こき物を薄くなし細きすち〴〵を輙く
【枠外左 初巻六十】