← 前のページ
ページ 134 / 202
次のページ →
翻刻
清血は心より出て通ずる彼寿命の気も同く伴ひ行て全身に
運び送る者也然ば心を根本とする脈すぢは必彼肝より出る血すぢの
下に付て全体にはびこる也故に経絡のしたには定まて経脈あり
爰を以て一身を補養する血は上なるすぢの中を通り寿命の気を
具したる血は下なるすぢの中を廻る者也去程に此二様のすぢの上
下に重りゆく謂れはしたなるすぢの清血至て熱精なるがゆへに上
なるすぢの血をとらかして滞りなく全体を順環させんが為也若
然らずんば上なる経絡の血は凝滞して廻る事叶べからず去ば彼清血至て
暖かなる事を何ぞといふに出所となる心に極熱有が故也是によて心
をば常に涼じめずんば人の命を保つべからず是を涼しむる役といふは
即肺の臓也
肺は軽くして和らかなる臓也常住動く事たえずして息の通ひを
なし窄み繙がる事鞴の如しひろがる時は外なる涼風を咽より内に
引とり心の熱精を涼しめしぼむ時は心の熱精によて暖まりたる
風を吹出して又新しきを引籠む也如此する事寤寐ともにたえ
ざるを以て冷風常に心を涼しむる事も絶せず是肺の第一の役也
又音声をなす事も肺の臓の役也常に出入る息風を肺より強く
【枠外右 二十四ケ条】