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吹出せば其風咽の口なる懸壅【注】に当りて音を生ずる也若喉中に病
ありて懸壅の腫れたる時か又はしぼみて小さく成たる時人の声に
響のなきも此いわれ也猶又咽の口は円かならずして篳篥の口に
似て押ひらめたるがごとし其平かなる間を潜りて通る風にひゞきの
出来るを即声とはいふ也此声に口舌唇のあやつりを加ふれば辞ととなりて
人の心を顕はす道と成者也誠に奇妙不思議也爰を以て案ずるに
人の身には一として無益の物なし胸中に入て暖気を得たる風ははや
心を涼しむる便りなしとて肺より其をふき捨るかと見れば是亦音
声を発し辞の種となる者也去ば右の外に臓腑のあやつり奇妙なる
事多謂ありといへ共余は閣きぬ今一つあにまの精根なるせんしちいはの
徳を左に云べし
第廿五 せんしちいわの精根幷にすぴりつあにまるの事
一身の成長養育をなすべぜたちいわの精根をば粗右に論じぬ今又
見聞覚知して万物をわかち全身動揺して居所を移す精徳の上を
略して云べし是則せんしちいわの精根也人是を具足せずんば世界の
【枠外左 初巻六十二】
【注 196コマの違字少々参照】