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又針灸等のあつさいたさを覚ふる事は見聞嗅味触をなす分の
すぴりつあにまるの道には障りなくして自由に通ずるゆへ也然ば
此等のすぴりつを頭より全体に運送する道をいふに頭中に於て此
すぴりつを生じ乗せたる脳脊骨に下りて其骨のすゑまで
充満せりさて脊骨には小さき穴余多ありて其より数々の筋出る也
都て其数四十八也此内廿四は腰より上にはびこり相残る廿四は腰より
下に行渡る也是等の筋を道として脊骨の髄より彼すぴりつを
全体にくばる者也猶又脊骨の中に上より下まで薄き皮ありて
髄を左右二にわくるが故に左右に蔓る筋の出所曾て雑乱する事なし
嗚呼爰に於て観ずるに御作者の御智慧御力の程を誰かは仰ぎ尊ま
ざらん一滴母胎に托したるを元として加程の奇妙を現じ給へば也
又食物の転化して変じゆく体を見よ先肝の臓にて一転して血と
なり身を養ひ其血又心にうつりて再返調練して寿命の気と変じ
保命を続け命根の気又頭脳に上りて菲薄清光の徳気と化して
見聞覚知の至具となる事心あらん程の人愀れ果ずといふ事有
べからず心を留めて思惟せば御作者爰に顕然し給ふ事を知べし能々
工夫を懲せ
【枠外左 初巻六十三】