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得べしと思ふ頼母敷心と又精誠をつくすべきと思ふ勇猛の心なくして
叶ふべからず又終にもとめ得まじき境を強て求めんと欲せば却て
身を亡ぼす端となる事多かるべきが故に時に随ひ境に依ては頼母敷
心を失ふ事も恐怖の心を懐く事も又以て肝要也尚亦憤りの心
なきに於ては怨敵の害を脱か類々事難かるべければ其肝要も明白也
然れば此五のぱいしやんに上の六を加へて其数都合十一となる也此等は
皆心の臓を居所とす爰を以て境界の相応不相応の差別を知るせん
ちいどの精根は頭脳の中に備はり憎愛追求苦楽遁避等の精根は
心に備はると心得べし此二様の精根を押束ねてせんしちいわの精
根と名付る也
去程に此等のぱいしやんは身命保養の為に肝要なるのみならず
修善退悪の勧めともなる者也喩へば憤りのぱいしやんは国家を守る
人の為には刑罰を行ふ便あり弓箭をとる人の為には勇気をます
基ひとなる也蓋しありすとうてれが言に依らば戦場の忿怒は智謀を
昧ます物なれば大将軍の上には好ましからずといへり又好境を見て
愛情を催すより名誉を望む心と悪名を恥る心も起る者也此二つは
邪を捨て正に帰せしむる媒となる事明か也善事には自ら誉れ有が
【枠外左 初巻六十七】