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べからず然る所に多くの人五根の識に任て境界の是非を糺さず
ぱいしやんの欲する処に随ふが故に常に迷ふ事多し又強ちに
迷ふのみにも非ず目前の境を貪りて押て理を枉る人もある者也
第廿九 あにまいんてれきちいわの体幷徳用を
論ずるの序
夫人間のあにまといふは唯一の体なれども其精根は三品也所謂
べぜたちいわせんしちいわいんてれきちいわ是也べぜたちいわとせんし
ちいはの精をは粗右に論じぬ此篇にはいんてれきちいはの徳を少々論
ずべし此徳は前のニに遥に勝れ是を以て人倫の第一とする者也
前のニはあにま色身に托する間のみ其用を施し離別の後は精のみ
残て用をば施さずいんてれきちいはの一徳はあにま色身に合する間も其
用を施し離別して後も猶其徳貞なる者也所以者何人のあにまは
色を離れても体を保ち性を失なはざれば色に拘はらずして其業を
なす者也さて離別の後も元の色体に帰らん事を好むといへども他の
色に合すべき性はなし爰を以あにま色身を離れてより人畜草木の
間に流転すと云し人は其性を知ざる故也去ばあにまいんてれきちいわの
【枠外左 初巻六十八】