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程の事にもあらざる物を求めんとて兵乱兵革の危き難を凌ぎ万
里の風波を航りし骸を鯨鯢の腮【顋(顎)】にかけ空敷労功を励す事誠に愚
癡の至りならずや天上は不退安楽の住所也百福荘厳の宮殿あり如意
満足の珍宝あり不退の寿命の歓喜あり言語譬喩校量思惟の及ぶ
所に非ず争か是を願ひ求めざらんや高天最上の楽しみに至らんには
肉親執着の重荷を捨ずんば叶ふべからず誠に此等の拙き事を捨て
御主に近付き奉る人は忽ち悪を避け善に至るの大徳を求め其身の
究めを明め知るべきによて余人のしらざる歓喜勇猛の心を含むべき
者也是を以て人は天上の為に造られたる者也といふ事を勘弁せよ去
故は天上の楽しみを我物なりと知れば也一世界の僅かなる事は諸天
日月の廻るを以てしれたり其故は人有て一世界を廻るといふとも順風
心に任せば歳月多からずして一廻すべき者也然ば天にまはる星の中に
三十年に一廻する事なきもあるぞ是をもて世界を天の大さにくらべ
ては一点程の事なりと分別せよ天の大さ既に如此況や其御作者の
広大に在ますべき事さらに言語の及ぶ処に非ず所以者何大きなる
諸天といふも ds の御手の内にありそれより放ち玉はゞ世界の万物
忽に乱却すべし其故は天地は無心の物なれば自分に治まる事も
【左枠外に 初巻二】