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鍛冶の刀を作るには鉄を下地とするが如し三にはまてりやぴりまは
万のほるまを受保つ器となるのみ也爰を以てほるまはまてりやに
非ず其性各別なる事顕然たり又ほるまはまてりやせくんだにも
非ず其故は生類の体はそれ〳〵のほるまなるあにまとまてりや
ぴりまと和合して成立する体なれば也去ば群生のあにまさへ此ある
時は益て人倫のあにまに於てをや然は生類の五体身分を割分て
見るに色形の外に別に命根顕れされば色則あにまならんと云はゞ
甚深き迷ひ也惣じて生類のあにまは各是色形なし色形なければ
眼目の見る所に非ず眼目の見ざる物は皆是無也と云はんは理不尽也喩ば
虚空には風気充塞すれども眼境に非ざれば人是を見る事能はず
又一鞠を見るにも軽く揚り音をなすは内に風を含める故也是によて
鞠破れて風散ずれば揚る事を得ず然に鞠を割分て見る時眼に
遮る物内になしとて皮を除て鞠の内に別に物なしと云はんは愚漢也
去ばあにま色を離るれば五体六根は有といへども能業なきを以此理を
弁ふべし又あにまをほるますゝたんしあるなりと云し道理は人間の
あにまは人のすゝたんしやの為にほるまとなるのみに非ずあにま則
すゝたんしや也群生のあにま亦如此然ばあにまをすゝたんしやといふ
【枠外左 初巻七十】