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兼ね持べき事肝要也喩へば眼に物を見るには光見らるべき境界のゑす
ぺしゑを瞳に写し持ざれば曾て見る事を得ず耳根鼻根舌根等も
又如此然ばせんちいどはそれ〳〵に定りたる境界有て他の境に触る
力なけれども智慧はその精力に限りなくして万境に渡て知る者也故に
こるほらる体もすぴりつある体もうにぺるさるもはるちくらるも作られ
たるも作られざる体も悉く知る者也是によてありすとうてれは智慧を
名付て万物といへり是万物を知るべき為に万物のゑすぺしゑを智内に
含が故なりさて此等のゑすぺしゑは皆すぴりつあるゑすぺしゑ也
さなきにをひてはすぴりつを写して知る事叶ふべからずこるぽらる
ゑすぺしゑにはすぴりつを写す事曾て相叶はざれば也又すぴりつ
のみにもあらずこるぽらる体のなつうらをもうにべるさるに見る時はこるぽ
らるゑすぺしゑに写す事叶ざる者也うにべるさるなつうらとは人畜
草木等を見る時彼人此人彼木此木彼鳥此鳥と一々の色相を見ず
といへども押束て人間と見鳥類と見木と見草と見る所をいふ也
去ば色相の体もうにべるさるなつうらならばこるぽらるゑすぺしゑに
うつす事叶はざる理を何ぞといふに惣じてゑすぺしゑは色形の体より
でても全く色形にはあらず漸く色形に遠離する所あるもの也例を
【枠外右 二十九ケ条】