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までも居上に彩り家屋の内に写し置事ありや或は文をなし字を
定め筆舌にものをいはせ紙面に心を写して遠き境の人倫に是を
示し今の世の事を記録し後の代の人に道を伝ふる巧みをなす事
ありや加之算数の妙術奇妙なる事は誠に言語にたえたり下界の
事はいふに及ばず懸かに隔たる高天の順環四季の転変日月の蝕する
事等までも時刻を違へず算勘の道より兼て量り知る事奇特の
業にあらずや昔あるきめいでといふ人はうつほなる水精の内に諸
天日月星辰を作り籠め順行逆行をあやつり月の盈虧日の出没
湖の干満日月の蝕に至るまでも時を違へずあらわしたるといへり
さて亦工匠の殿閣を造る巧み金銀の細工の濃なる手涯詩人歌人の
尽せざる作章管弦の調子舞楽の拍子を見よ此等を巧み出せる人
間の智慧を禽獣に等く全く色相なりと見んは誠に理不尽の至り
なり若人有て禽獣の上にも不思議なる巧みをする事なきに
あらずといはゞ彼等は皆其一類に定りたる所作のみ有て境を出ず
人倫の智慧の巧みは限りなくして而も色相の力に超越する所作
多端也然則かかる奇妙の巧みをなすいんてれきとの精力はすぴりつ
ならずんば有べからず
【枠外右側 二十九ケ条】