← 前のページ
ページ 175 / 202
次のページ →
翻刻
ゑすぺりえんしやなくしてじゆぢしよの徳を発する事もなし
其故はありすとうてれが教るごとくいんてれきとの働きは何れも内の
ゑすぺしえに向はずして叶はざれば也加之人間のあにまは一身のほるま
なればべぜたちいはの精をもて身を養ひ巣立る事をも専己が業と
する者也然ば睡眠の時は暫くいんてれきとの所作を止て一身補養を
第一とするが故に夢中の影像を見てもいんてれきとは強て其虚実に
拘らざる故也さめたる時だにも多境紛乱して逐一に智慧を仕はざれば
分別迷ふ事多し益て睡眠の時に於てをや各条々の開解各其理
甚深なれば能々工夫を凝して徹底すべき者也
§六 おんたあでの事
右いんてれきとの外に亦あにまに備はる今一ッの徳用あり名付ておん
たあでといふ也又是をあぺちいといんてれきちいをともな名付たり是別に
あらずいんてれきとをもて境界の好悪を糺す時境を好しと見我為に
相応なりと見ればおんたあで此に起て彼に愛着し則願ひ望む也
若亦境を悪しと見我為に相応ならずと見る事あればおんたあで
□【彼ヵ】を憎み必厭ひ嫌ふ者也さて境界の好悪は必しも実に非ずと云共
□【いんヵ】てれきと彼に迷て悪きをよしと糺すにをひてはおんたあでは彼に
【枠外左側 初巻八十二】